東北大生が西洋経済史の試験や
レポートでよく引用する経済史の用語集
人口変動 家族 結婚パターン 人口増加 移住 歴史人口学
制度 法律 カンパニー 教区 裁判所 制度史 法人
農業経済 エンクロージャー 土地保有 封建制
都市経済 自治都市 都市化 都市文化 ロンドン
流通 消費 家内取引 公開市場 市場革命 消費革命 食料供給
産業 技術 技術革新 工業化 産業革命 プロト工業化 分業
財政 金融 貨幣経済 銀行史 財政革命 税制
福祉経済 救貧法 チャリティ ホスピタル
政治経済 行政革命 経済成長 国家形成
国際経済 遠隔地商業 商業革命 植民地主義 大分岐 奴隷貿易
東インド会社 冒険商人
経済社会 価格革命 近世 穀物法 資本家 女性史
中間層 定住法
五十音順
移住 Migration
東京一極集中、過疎化、外国人技能実習制度。移住は、これらの時事問題に共通する重要なテーマです。移住の是非は、場所、時代、個人の状況によって大きく異なり、一概に結論付けられるものではありません。しかし、経済成長には、住む場所を選ぶ自由を容認する制度とカルチャーの存在が重要であることが、明らかになってきました。
続きを読む 2024.12.20
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エンクロージャー Enclosure
農業法人の設立や農業の6次産業化。近年、規模の経済が物を言う農業に対する評価が高まりつつあります。その意味で、独立自営農民、大規模農業経営、農業革命といった用語が、経済史のキーワードになる西欧の例は注目に値します。エンクロージャーもその一つです。続きを読む 2024.03.29
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価格革命 The Price Revolution
物価上昇は、近代経済思想の流れさえ変えるほどのとてつもない影響力を持っています。実は、産業革命よりも100年以上も前に、西洋経済史の道筋を決定づける長期のインフレーションが起こっていたのです。
続きを読む 2025.08.05
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カンパニー Company
講義やゼミの履修登録、学友会への入会。そして、その後の就職活動。これらに共通するのは、新たな人間関係を築く手段であること、しかもそれが、「個人の選択」に委ねられているということです。他者と関係を結ぶという人類固有の能力が、血縁や地縁、慣習以外の論理に基づき発揮されるようになる経緯に、西洋経済史の見所があります。実は、企業を意味する言葉として用いられる「カンパニー」という語も、イギリスの近世都市では自発的に結ばれる他者との関係を指す言葉として広く使われていたことがわかってきました(川名:2024 ,第5章)。
2025.05.30
【参考文献】 川名 洋 (2024)『公私混在の経済社会』 日本経済評論社.〔訳書〕
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技術革新 Technological Innovation
技術革新が人類にとって諸刃の剣であるという認識は、現在では広く共有されています。正常な生命の営みが覆される危険性、ひいては大量破壊兵器の開発に繋がる可能性もあるからです。しかし、技術革新の流れが止まることはありません。17世紀の科学革命により、すでにパンドラの箱は開け放たれたからです。独創的な発明・発見を何よりも重んじる価値観はいかにして広まったのか。それは、西洋経済史における重要な問いの一つです。
続きを読む 2025.02.05
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救貧法 The Poor laws
加齢、介護、経済格差。今では問題意識を喚起する際の決まり文句です。ところが、中間層の人々がこれらの課題を認識し、制度を構築するようになる歴史的スピードには、文化圏によって大きな差がありました。いち早く着手した国々の経済が先に伸びたのは、決して偶然ではなかったことが明らかになってきました。
続きを読む 2024.11.22
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教区 Parish
イギリスの行政区はもともと教会区(教区)であったことはあまり知られていない重要な史実です。制度史が教会史と密接にかかわる西洋経済史の特徴をよく示す史実でもあります。それは、西欧の経済史には初めから、経済と宗教との関係を論じるには申し分ない歴史的文脈があることを意味します。救貧の歴史を主要なテーマとするアプローチは、そのことをよく示しています。
続きを読む 2025.06.26
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行政革命
The Tudor Revolution in Government
民主主義と権威主義。どちらの政治体制が経済的に優れているかを問う最近の思想的潮流は、決して特別なものではありません。同様の問いは、冷戦時代にも存在しました。また、国家建設の歴史を踏まえれば、時をさらに遡ることもできるでしょう。西欧近世に露わになる各国間の政治システムの違いは、やがて経済力の差を伴って近現代史の方向性を決定づけることになったのです。続きを読む 2025.02.15
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銀行史 The History of Banking
2008年の金融危機以来、銀行のあり方が注目されるようになりました。銀行業は、一社でも倒産するとその連鎖を引き起こしかねない特殊なビジネスです。しかし、だからといって政府がパトロンとなって保護する姿勢を見せれば、銀行間の競争が阻害され、預金者や起業家のためのサービス向上にはつながりません。国によって異なる銀行業の特徴は、実はその国の経済成長にも影響を及ぼすことがわかってきました。続きを読む 2025.04.27
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近世 Early Modern
17世紀に西洋とのつながりを制限した日本が、19世紀になると逆にそれを広げたのはなぜでしょう?もちろん、日本側の事情は広く知られています。一方、その理由は、西洋の側にも見出されるのです。続きを読む 2024.09.29
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経済成長 Economic Growth
各国のGDPの値を調べることによって経済成長のスピードを比較できるようになります。ところが、GDPの大きさだけでは経済の質と社会への影響を把握することはできません。経済成長を人間の成長になぞらえて考えてみましょう。健康診断は大事ですが、その結果から各人の人格や性格について知ることはできません。
続きを読む 2025.07.25
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穀物法 The Corn Laws
2025年日本の冬。生産調整の是非が問われる中、一部の業者が米を買い占める令和の米騒動が起こりました。食料供給の安定は、農業生産力だけでなく流通の問題でもあることを改めて想起させる事件です。実は、中世の人々も流通の重要性をよく認識していました。そのことがわかる制度が穀物法の歴史に残されています。続きを読む
2025.03.05
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公開市場 The Open Market
マーケットと言えば、報道でよく言及される証券市場を思い浮かべる者は多いでしょう。経済史では、安価な食料品の販売場所として中世以来続く市場を指す用語になります。とくに西欧において街の真ん中で市場が開かれる都市は、現在でも少なくありません。市場は、西欧経済の歴史的連続性を示す象徴的な制度として、教会と共に都市景観の一部になっています。
続きを読む 2025.03.29
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国家形成 State Formation
時代劇の中で農民や町人が、城下町や村を話題にすることはあっても、日本や日本人に言及する台詞は聞いたことがありません。庶民にとって国や国籍が重要と思えるようになるその後の時代背景には、暮らしの中で外国を意識せざるを得なくなるグローバル化の流れがあったことを歴史の授業で学びます。西欧経済史では、国が重要になった時代背景に「個人」が重視されるようになるという、アジアにはないもう一つの潮流がありました。
続きを読む 2024.09.26
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工業化 industrialization
「工業化」の意味を誤解している学生を多く見かけます。経済の仕組みが、工学技術の革新により、製造業の機械化と大量生産体制に依存するようになる歴史的経緯を示す用語と考えられがちですが、西洋経済史の文脈に沿うよう理解するためには、そのような見方では狭すぎます。確かに西洋経済史の特徴は、高度有機経済の発展の帰結に産業革命が起こるという筋書きにありますが、機械制工業の時代よりも何世紀も前から工業生産が伸びていたことがわかっているからです。
続きを読む 2025.08.29
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財政革命 The Financial Revolution
財政規律の難しさと財政破綻の可能性が問われる中、消費税減税や手取りを増やす税制改正をめぐり、財務省の動きが注目を集めています。これらの時事問題のルーツを探ると、17世紀の西欧に起こった金融と財政にまたがる大改革に行き着きます。続きを読む 2024.03.14
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産業革命 The Industrial Revolution
近年、地球温暖化の元凶とみなされ評価が分かれるキーワードです。しかし、論争は今に始まったわけではありません。経済成長や市場の働き、地方財政、貧困問題。18世紀後半から19世紀前半にかけて起こった生産技術の革新の後に、これらのテーマは社会科学の主たる研究対象となりました。もちろんどのテーマも産業革命に起源があるわけではありません。しかし、社会科学が、産業革命後に顕在化した経済的課題と社会問題に対し学問的に向き合う正式な方法になったことは間違いないでしょう。続きを読む 2024.06.26
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市場革命 The Market Revolution
商品の販売はかつて、食料や衣服の取引の例が示すように、顧客に相対して行われるのが一般的でした。例えば、食料品商は、顧客の顔と好みをよく知っていましたし、仕立屋は、客の注文を聞いてから作業に取りかかりました。このように、伝統的な市場では、変化に乏しい顧客のニーズに着実に応えることが、商品販売の動機になっていました。
続きを読む 2024.06.26
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商業革命 The Commercial Revolution
中世に遠隔地貿易で栄えた西欧経済は、近世に入るとさらに遠方へと商業圏を拡大していきます。アジア、アフリカ、アメリカでの取引に向け種々の貿易会社が設立され、資金調達を円滑にする金融市場が動き出すなど、前例のないビジネスの形が次々に誕生するようになります。一方、スペインとポルトガルの例が示すように、商業革命が近代経済に直結したわけではありません。近世においてイギリス商人が手がけるアジア、アフリカ、アメリカとの貿易の量も、ヨーロッパ中心の従来の市場規模を踏まえれば、まだ僅かであったと言えるでしょう。2025.08.12
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女性史 Women's History
今後、女性史は、経済について学ぶ者にとって重要なテーマであり続けることが予想されます。なぜなら、経済学部において男性の割合が圧倒的に高い理由は、未だによくわからないからです。研究と教育とではマーケットは異なるものの、合理的かつ中立であるべき学問の世界に男女による差が生じるのはなぜか。経済と社会との関係性について理解する重要な課題設定です。続きを読む 2025.08.16
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制度史 Institutional History
経済学は国家の存在を前提に論じられる学問です(Smith:1776)。市場や金融、企業など、どれも国家権力の裏付けがなければうまく動きません。経済理論が世界中どこでも通用すると思えるのも、国制の下にない経済活動は例外的だからです。こうした学問的特徴は、普遍性を探究する経済学の魅力でもあります。
続きを読む 2025.07.08
自治都市 Cities and Boroughs
公務員を目指す学生に限らず、市民一人ひとりにとって国や政府との関わり方を考えるのは大切なことです。事故や災害の際に公の力は欠かせませんが、その一方で、身の回りのことは大概自分で決めたいと誰もが思うものだからです。個人の都合を尊重する思想は戦後になってようやく憲法で保障されるようになりましたが、その源流をイギリス都市史に辿ることができることがわかってきたのです。続きを読む 2024.11.07
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食料供給 Food Supply
「地産地消」への関心の高まりは、かつての自給自足経済を彷彿とさせる興味深い社会現象と言えます。この動きを中世の封建制に照らし合わせるならば、地産地消の動向に伴い、分権化へと回帰する行政改革の可能性を想定してみるのも面白いでしょう。
続きを読む 2025.03.06
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資本家 Capitalist
自分の財産を自由に使用できるのは人間に限られるという意味で、消費や相続は最も人間らしい行為と言えます。西欧近世における財政革命や産業革命が重要なのは、消費以外にも、お金の使い道が飛躍的に増える画期的な出来事となったからです。暮らしを豊かで便利にするアイディアから軍拡の財源に至るまで、個人資産の使い道は無限に広がることになりました。続きを読む 2024.09.12
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消費革命 The Consumer Revolution
消費の拡大がマクロ経済の成長にとって欠かせないのは言うまでもありません。また、活発な消費には、個人による商品の選択を通じて自由な社会を維持する効果もあります。消費革命がいつどの国に起こったかを調べることで、そのことがよりはっきりと理解できるようになるでしょう。実は、イギリスでは早くも17世紀前期に、市場に出回る消費財の種類が増える傾向にあったことがわかってきました(川名:2024 ,第2章)。続きを読む 2024.06.30
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植民地主義 Colonialism
植民の歴史には常に、取引や価値観の強制といった負の側面と、優れた技術や制度、思想の伝播といった正の側面とが存在します。感情を揺さぶられるテーマですが、いずれの影響も定量化は困難であるため、単純に正と負の側面を天秤にかけるような議論は適切ではありません。また、国と時代によって大きく異なる事例の差異を無視して、植民の歴史を一律に評するのも適当とは言えないでしょう。
続きを読む 2024.06.13
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人口増加 Population Increase
人口減少の時代にマーケットの縮小や少子高齢化が問題となるのは当然です。経済史の視点から見れば、そうした現状に対する懸念は、さらに深刻でしょう。なぜなら、総人口が持続的に増加したからこそ、近代経済の誕生が可能であったことがわかっているからです。続きを読む 2024.10.12
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税制 The Tax System
一人の人間とは異なり、国家には明確な意思がなく、豊かさを求める点では同じでも、国家自体を労働力の単位と見なすことはできません。そこで、国家の意思決定には議会を必要とし、国家の経済力を高めるためには、国民の間に蓄積された富の一部を活用するシステムが必要になります。それが、税制です。続きを読む 2025.02.15
大分岐 The Great Divergence
19世紀に入るとイギリス産業革命の成功を他の西欧諸国とアメリカ合衆国が追いかけることになります。その結果、20世紀には欧米諸国と他の国々に住む人々の間の所得格差が広がる結果となりました。大分岐と呼ばれる現象です。続きを読む 2024.05.29
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チャリティ Charity
経済成長論は重要ですが、実は分配論の歴史の方がはるかに長く、近代経済学の成立よりも何世紀も前から、その是非をめぐり多くの知的エネルギーが費やされてきました。西欧における長期の経済発展の特徴は、市場経済が弱者救済の思想と常に結びつき伸びていた点にあります。続きを読む 2025.06.24
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中間層 The Middling Sort
ある国の経済の質について考えるとき、医師、弁護士、教員、看護師、建築士、会計士、官僚、ジャーナリストといった専門職に従事する人々の活躍が注目されます。なぜなら、専門職に携わる人々の価値観、世界観、倫理観、人生観は、経済力を有する中間層の人々の集合的アイデンティティを構成し、政策や社会規範にも作用する影響力になり得るからです。続きを読む 2024.10.04
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定住法 The Law of Settlement
現在、どの経済先進国の国民も、住む場所を自由に選ぶことができます。一方、その政府には、公共サービスを通じて人口移動を促進・抑制する力が備わっているのも事実です。その力は、出入国管理といった明確な規制に限らず、教育機会の提供や交通インフラの整備など身近なサービスにも及びます。
続きを読む 2025.01.25
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都市化 Urbanization
産業革命によって人々の働き方は大きく変わりました。家庭ではなく、工場やオフィスで働くことができるようになったからです。都市化によって人々の暮らし方も大きく変わりました。農業に携わることなく生きる選択肢が広がったからです。西欧では産業革命が18世紀後期に起こりました。しかし、都市化はそれよりも前から始まっていたのです。
続きを読む 2024.06.30
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都市文化 Urban Culture
美術館や博物館、コンサート・ホールや運動競技場、国際会議場や総合病院の建設など。どの場所にどのような施設を設けるか。都市のアイデンティティを形成し、その商業的価値も高めるこれらの計画は、今では現代市民の中心課題となりました。都市は人口密集地であり、商業の中心地でもあります。しかし、その都市が経済史研究の主題となるのは、そこで醸成される文化(社会関係や価値観、思想、アイディア、規範など)を認識することによってはじめて、数値では示すことができない西欧経済の質について評価できるようになるからです。
続きを読む 2024.09.30
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土地保有 Landholdings
土地の最適な活用方法を決定するのは誰か。この問いは、一国の経済成長、地域経済の活性化に深く関わる重要な問題です。西欧では、中世から近世にかけて、土地利用の決定権が領主及び共同体から個人へと移る傾向にありました。それは、西洋経済が発展した決定的要因の一つであったと考えられます。続きを読む 2024.10.12
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奴隷貿易 The Slave Trade
言わずと知れた植民地主義にまつわる負の遺産ですが、西洋経済史の研究では論争が激しいテーマの一つです。奴隷貿易は、イギリス産業革命期を含む18世紀に盛んであったことから欧米経済の成功要因と考えられがちですが、意外にも、そのルーツを辿ると、アフリカ大陸内における悪しき伝統に突き当たります。そこでは、西欧人が訪れる前から奴隷制が広まっていたのです(Allen: 2011)。
続きを読む 2024.06.26
【参考文献】Allen, R.(2011), Global economic history : a very short introduction.Oxford.〔訳書〕
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東インド会社
The East India Company
遠方の地域との取引が増えれば想定すべき市場圏も当然大きくなります。西洋経済史のおもしろさは、市場圏の拡大に呼応して制度と組織が着実に変化していく様を考察できる点にあります。農業におけるエンクロージャーや、政治の分野で目立つ国家形成はその好例と言えるでしょう。続きを読む 2024.06.26
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プロト工業化 Proto-industry
貧しい国が豊かになるには、工業化が不可欠です。その難しさは、人類がその方法に気付くまでに膨大な時間を費やしたという事実からも理解できます。機械化の時代が工業化の始まりであると考えがちですが、実際にはそれ以前に、手工業における分業と国際市場の開拓という、よりシンプルな工業化の第一局面が西欧において見られたのです。
続きを読む 2025.05.17
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封建制 Feudalism
中世ヨーロッパには土地保有の慣習を基礎に農業経済が維持される封建制と呼ばれる制度がありました。国王とその家臣との間の軍事的主従関係や、その下で営まれる農業と、領主と農民との間の上下関係が強調されがちですが、封建制の歴史的意義は、その制度を基礎に、ルールに基づく経済社会が何世紀もの長い間、維持されていたことにあります。封建制は、西欧において市場経済が伸びた前提条件と言えるからです。続きを読む 2024.04.29
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ヨーロッパ的結婚パターン
The European Marriage Pattern
少子高齢化、労働力不足、社会保障費増大、地方過疎。人口減少は、間違いなく日本経済が抱える最大の問題です。一方で、そうした傾向を、日本社会が個人主義的になりつつあることを示す証拠と捉える見方もありうるでしょう。政府は社会全体の厚生を強調しますが、若者一人ひとりは冷静に合理的な選択を行っていると考えられるからです。続きを読む
2024.10.26
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歴史人口学 Historical Demography
軍備、食料供給、税収にかかわる総人口の変化は、いかなる政府にとっても重要な関心事項です。19世紀の西欧において記録され始めた人口センサスが画期的なのは、他の地域に先駆けて人口統計の重要性が公式に認められるようになったことを示しているからです。それは近代経済学の基礎が固まる時期とも一致します。一方、近代以前の総人口を長期にわたり把握できる正確なデータは残されていません。しかし、断片的な証拠からでも信頼できる人口史を書く方法を活用できることがわかってきました。続きを読む 2025.03.13
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ロンドン London
イギリスの首都ロンドンの経済史は、一国史に相当するおもしろさがあります。近代に成立する国際的金融街のイメージが強い都市ですが、世界の名だたる首都の中で、一千年の間、同じ場所で地名も変えず首都機能を維持し続けた都市はそう多くはないからです。中世以来の長期の発展に導かれ現在まで続くイギリス経済史を象徴する都市と言えるでしょう。
続きを読む 2025.08.07
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Last Updated :
© 2024 Yoh Kawana
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