国際卓越研究大学 UREX 1
東北大学 大学院経済学研究科 川名 洋教授(西欧経済史)

Prof. Yoh Kawana(Ph.D. University of Leicester)


経済史のキーワード

資本家
Capitalist

【関連項目】産業革命技術革新チャリティ

 

はじめに

資本家の社会的地位 **

ジェントルマン資本主義 **

資本家とイデオロギー **

§参考文献§

** campus-only

はじめに

 担保になり得る資産を積極的にビジネスに活用する人のことですが、具体的にイメージするのが難しく、つい大雑把な理解で終わりがちな用語です。例えば、産業革命期に登場する工場主や問屋制度を組織した織元らはわかりやすい例ですが、東インド会社に投資する主婦、ロンドン市の有力な親方職人、裕福な農民(ヨーマン)や下層地主(ジェントリ)らのように、実際に投資をビジネスの一部と考えていた者を含めると、資本家と呼びうる人々のプロフィールは多様であったことになります。

 一方、資本家をその下で働く労働者との雇用関係に限定して捉えるのも狭すぎます。資金を投じて技術革新に繋がる新しいアイディアを引き出したり、リスクが大きいビジネスにあえて挑んだりする人々も、資本家として注目されるからです。

 社会を「層」として把握する一方で、「個」の集団と捉えることを怠れば、西洋経済史の本質を見誤ることになります。持続的経済成長に結びつくことになる新発見やユニークな発想は、個人によるものが多いからです。それらをビジネスに結びつけ社会に便益をもたらすのも、資本家の重要な役割と言えます。

 個人の優れた能力を社会の便益に結びつけることができたのは、歴史上、主に社会の支配層に限られていました。近世から近代にかけてその役割を担うアクターは、民間にも無数に存在するようになったのです。
2025.02.20

参考文献

      Cain, P. J., and Hopkins, A. G.(1986), ‘Gentlemanly capitalism and British expansion overseas: the old colonial system, 1688-1850’, The Economic History Review, 2nd ser., vol. 39 , pp. 501-525.〕
      Grassby, R. (1995), The Business Community of Seventeenth Century England. Cambridge.
      川名 洋 (2010)『近世イギリスの「公式」と「非公式」』 創文社/講談社.
      川名 洋 (2024)『公私混在の経済社会―近世イギリスにおける個人と都市法人―』 日本経済評論社.
      Kocka, J. (2016), Capitalism: a short history. Oxford. 〔訳書

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