国際卓越研究大学内定校
東北大学 大学院経済学研究科・経済学部 川名 洋教授(西欧経済史)
Prof. Yoh Kawana(Ph.D. University of Leicester)
経済史・都市史のページ
Economic and Urban History
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西欧経済史研究室 2024経済史のキーワードに「救貧法」を追加しました。 西欧経済史演習にて近世オランダ経済の盛衰について議論しました。 経済史のキーワードに「自治都市」を追加しました。 「比較経済史」(トピックス経済史・経営史)のページを更新しました。 西欧経済史演習にて後発工業国の経済成長について議論しました。 西欧経済史演習にて「植民地主義」について議論しました。 「大分岐」が世界秩序を理解する上で重要なプロセスであることがよくわかりました。 「イギリス経済史」のページを更新しました。 「経済史のキーワード 用語集」のページを更新しました。 著書紹介 近世イギリス都市の社会原理単著 『公私混在の経済社会ー近世イギリスにおける個人と都市法人』日本経済評論社, 2024年 市場の働きを制御する諸制度を長く機能させるには、個人の選択が何よりも重要であるという価値観が社会に浸透していなければならない。イギリスでは、近世前半期(16~17世紀)においてすでに、そのような「公私混在の経済社会」が自治都市を中心に成立していたことがわかってきた。 【参照】自治都市 イギリス都市史 単著 『イギリス近世都市の「公式」と「非公式」』 創文社, 2010年 講談社(電子版) 都市モラルの本質は、「公共善」を掲げる理想と私益を優先する個人的都合の狭間で起る妥協点の探り合いにある。 こうした現実を直視するとき、「公」が善で「私」は悪という単純な二元論でなく、両者の補完関係に踏み込む新しい論理が必要となる。 本書は公と私が重畳するなか自治が実践される現代都市の源流を、一次史料をもとに先進国イギリスの経済拠点に見出しその構造を解明、都市化現象の歴史的意義を問う都市史学の新たな方法論を提唱する。 論文紹介単著 「中世イングランドにおける救貧活動と介護施設の変遷―都市のホスピタルを中心に―」, 研究年報 『経済学』, 第76巻1号, 2018年 article pdf 病弱、あるいは肢体不自由ゆえに労働もおぼつかない弱い貧困者と貧しい健常者とを区別する救貧法の法理を無視し無差別に施しを与えようとする老若男女の振る舞いや、施し、寄贈・遺贈などの行為を信仰の実践と捉える個々の人々の運動が近世の初めから終わりまで根強く見られた事実を目の当たりにすると、深刻さを増す貧困対策において顕在化する公の力と私の力とが交錯する社会領域で起こるそれらの事象を中世の時期にまで遡り長期の歴史において見出さずにはいられない。その歴史的意義は、都市史の文脈において鮮明になると考えられる。 単著 「中世・近世イングランドにおける手工業の展開―都市史の視角―」, 研究年報 『経済学』, 第74巻4号, 2014年 article pdf 中世・近世イングランドに起こる工業の歴史は、「最初の工業国」誕生を可能にする前提条件の探究に資することは言うまでもない。しかし、一国の基幹産業というものが、制度の蓄積という公式性と、その裏側にある非公式性とが混在する都市独特の政治、経済、社会の諸領域誕生にも深く関わっていたとすれば、工業の歴史は、かかる工業国最大の特色である「都市社会」創成という都市史の一部であったと理解してもおかしくはあるまい。思弁的見方が許されるならば、「最初の工業国」の経済条件は、はからずも「最初の都市社会」の歴史的文脈をも準備していたと考えられるのである。 単著 「中世・近世イングランドの商業化―都市史の視点―」, 中野 忠他編, 『一八世紀イギリスの都市空間を探る―「都市ルネサンス論」再考』, 刀水書房, 2012年 article pdf 商業化の歴史的意義を単に公権力主導の法制化のそれとすり替える見方は明らかに不適当であろう。週市の歴史で興味深いのは、そうした公の権力とは対極にありながら制度の質に重大な作用を及ぼしうる市(いち)の非公式な局面に蓄えられた力であった。 これら両方の力を認識することによって、商業を必要とし公と私の論理で潤う暮らしぶりに注目する歴史観が浮上する。商業取引の要となる経済制度の広い意味を、都市史の文脈で考察するもう一つの意義がここにある。 単著「『長い17世紀』のイングランドにおける国家形成―公権力と市民性をめぐる研究動向―」, 『社会経済史学』, 2007年 J-STAGE(全文) 市民性について公式の政治領域を中心に論じる危うさは、礼節やジェンティリティといった理念へ論者の視点が集中するあまり、 法制度の革新を生む政治社会が、実は、そうした理念とは異質な経済社会とある部分では連続しているという近世社会の持つ重要な特徴を見過ごす傾向にある。もちろん、 隣人同士持ち回りの社会貢献に基礎を置く政治領域は、すべて公式とは言い難い面もある。 だが、イングランド独特の政治社会の土壌が、農村ミドリング・ソートや都市フリーメンの政治意識で主に潤っていたというこれまでの主張がある中で、 当時の政治が内包する非公式性はもちろん、彼(女)らの影響をより広い社会で見極めるために、中央政府と関連する「公式な領域」、関連性の薄い「非公式な領域」、 そして何よりも両者が交わる「混在域」で市民性を捉える意義は決して小さくないであろう。 研究成果専門分野 経済史・都市史 単著 『公私混在の経済社会ー近世イギリスにおける個人と都市法人』日本経済評論社, 2024年2月 『イギリス近世都市の「公式」と「非公式」』 創文社, 2010年2月講談社(電子版) 共著 中野 忠他編, 『一八世紀イギリスの都市空間を探る―「都市ルネサンス論」再考』, 刀水書房, 2012年 article pdf イギリス都市・農村共同体研究会, 東北大学経済史・経営史研究会共編, 『イギリス都市史研究 ―都市と地域―』日本経済評論社, 2004年 論文 「中世イングランドにおける救貧活動と介護施設の変遷―都市のホスピタルを中心に― 」, 研究年報『経済学』第76巻第1号(2018年), pp.125-144. article pdf 「中世・近世イングランドにおける手工業の展開―都市史の視角―」, 『研究年報経済学』, 第74巻第4号(2014年)article pdf 「中世・近世イングランドの商業化―都市史の視点―」, 中野 忠他編, 『一八世紀イギリスの都市空間を探る―「都市ルネサンス論」再考』, 刀水書房, 2012年 article pdf 「『長い17世紀』のイングランドにおける国家形成―公権力と市民性をめぐる研究動向―」, 『社会経済史学』, 第73巻第2号(2007年)参考 Wサイト:J-STAGE(全文) 'Trade, sociability, and governance in an English incorporated borough: ''Formal'' and ''informal'' worlds in Leicester, c.1570-1640', Urban History , vol. 33, 3 (2006) 「『国家形成期』におけるイギリス都市の経済とガバナンス」, 社会経済史学会, 第9回東北部会報告, 2006年12月 「16世紀イングランド自治都市に見る定住民と移住民」, イギリス都市・農村共同体研究会報告, 2006年5月 「近世イングランドにおける都市経済基盤とその変容過程 ―内陸都市レスターの事例―」, イギリス都市・農村共同体研究会, 東北大学経済史・経営史研究会共編,『イギリス都市史研究 ―都市と地域―』, (日本経済評論社, 2004年), 所収 'The Urban Foundation of the Regional Economy Peripheral Towns in the English Midlands, c.1550-1700', The Seventh International Conference on Urban History, European Association of Urban Historians, Athens, 2004, 10 'A survey of urbanization in the English Midlands, c.1550-1750', Annual Report of the Economic Society of Tohoku University, vol. 65, 47-58 (2004)article pdf 「イギリス近世都市における『公式』と『非公式』 ―16世紀後期及び17世紀前期レスターの事例―」, 『社会経済史学』, 第69巻3号 (2003年) 「近世イングランドにおけるアーバン・プロセス ―州都市レスターの事例―」, 『比較都市史研究』, 第19巻2号 (2000年) 'City gates in pre-modern England: informal functions and public perceptions', The Fifth International Conference on Urban History, Berlin, 2000, 9 'The impact of London's growth in the late sixteenth and early seventeenth centuries: A new approach,' Annual Report of the Economic Society of Tohoku University, vol. 61, 353-67(1999) 所属学会
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