国際卓越研究大学認定校 UREX 1東北大学 大学院経済学研究科 川名 洋教授(西欧経済史) Prof. Yoh Kawana(Ph.D. University of Leicester)
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はじめに
流通システムの重要性 **
穀物法
都市の食料政策 **
食料政策の転換 **
** campus-only
「地産地消」への関心の高まりは、かつての自給自足経済を彷彿とさせる興味深い社会現象と言えます。この動きを中世の封建制に照らし合わせるならば、地産地消の動向に伴い、分権化へと回帰する行政改革の可能性を想定してみるのも面白いでしょう。貿易が不活発になり世界経済も縮小するなら、中世経済へ逆戻りする感覚はさらに現実味を帯びることになりそうです。ところで、経済成長に必須の持続的人口増加が可能になったのは、近代に入り、大規模な食料輸入が実現したからです。その事実を踏まえると、内向き志向の広まりは、人口減少の時代特有の社会現象と言えるかもしれません。2025.03.06
穀物法といえば、自由貿易の是非をめぐる19世紀の政策的・思想的論争を想起しがちですが、穀物の輸出入を規制する同法は、中世に導入され始めた重要な食料政策の一つです。生存に必要な食料が人々に行き渡らない危機的状況を避けるため講じられた政策でした。
穀物の輸出入には、消費者とは別に生産者を保護する観点が内在しています。しかも、消費者と生産者の利益は必ずしも一致しません。食料供給は人々の生存率を高める最も重要な要件であったことを踏まえれば、食料へのアクセス可能性を確保するため、当時の政策において消費者利益の保護が優先されたとしても不自然ではないでしょう (Gras: 1915)。ここに、現代の農業政策について考えるきっかけにもなりうる穀物法の歴史的意義があるのです 2025.03.12