穀物法 The Corn Laws
自由貿易の是非をめぐる19世紀の政策的・思想的論争を想起しがちですが、穀物の輸出入を規制する穀物法は、中世に導入され始めた重要な食料政策の一つです。生存に必要な食料が人々に行き渡らない状態を避けるため講じられた政策でした。
穀物の輸出入には、国内農業従事者の保護と消費者利益の増進という二つの目的が内在しています。しかし、当時、食料供給は人々の生存率を高める最も重要な要件であったため、後者の消費者利益、特に食料へのアクセス可能性を確保する視点が重視されたとしても不自然ではないでしょう(Gras:1915)。
2025.03.05
参考文献
Gras, N.S.B.(1915), The Evolution of the English corn market from the twelfth to the eighteenth century. Cambridge, Mass.