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国際卓越研究大学 経済史のキーワード
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五十音順 カンパニー Company 講義やゼミの履修登録、学友会への入会。そして、その後の就職活動。これらに共通するのは、新たな人間関係を築く手段であること、しかもそれが、「個人の選択」に委ねられているということです。他者と関係を結ぶという人類固有の能力が、血縁や地縁、慣習の論理ではなく、個人の意思により発揮されるようになる経緯に、西洋経済史の見所があります。実は、今では会社を意味する「カンパニー」という語も、近世都市では自発的に結ばれる他者との関係を指す言葉として広く使われていたことがわかってきました (川名: 2024 ,第5章)。続きを読む 2025.05.30 教区 Parish イギリスの行政区はもともと教会区(教区)であったことはあまり知られていない重要な史実です。制度史が教会史と密接にかかわる西洋経済史の特徴をよく現す史実でもあります。それは、西欧の経済史には初めから、経済と宗教との関係を論じるには申し分のない歴史的文脈が備わっていることを意味します。例えば、救貧法の歴史は、そのことをよく示しています。
続きを読む 2025.06.26 穀物法 The Corn Laws 2025年日本の冬。生産調整の是非が問われる中、一部の業者が米を買い占める「令和の米騒動」が起こりました。食料供給の安定は、農業生産力だけでなく流通の問題でもあることを改めて想起させる事件です。実は、中世の人々も流通の重要性をよく認識していました。そのことがわかる制度が穀物法の歴史に残されています。続きを読む 司法 Justice取引や契約上のトラブルは民事裁判所で争われます。ゆえに、適切な司法制度の有無はどの時代にも、経済的関心事になりました。西欧には、中世以来、適用される司法権に応じて裁判所が複数設けられる歴史があります。中でも商業に見合った司法が都市に適用されるようになる点は特筆に値します。なぜなら、都市が取引の中心地になる理由について、制度の面から納得できるようになるからです。続きを読む 2025.09.17 制度史 Institutional History 企業や役所に限らず、部活やサークルでも、組織内ではルールづくりに長い時間と労力を費やすことになります。組織運営にトラブルは付きものですから、その都度、新たなルールがつくられ、その数は自ずと増えていきます。取引の量と種類が増加し、経済の中身も複雑になると、組織とルールの数は益々増加していきます。ところが、ルールと自由は、本来、両立しないので、その数が増えればいつの間にか取引の自由は制約されることになりかねません。実は、その想定を見事に覆してみせたところに、西洋経済史の面白さがあるのです。 定住法 The Laws of Settlement 現在、どの経済先進国の国民も、住む場所を自由に選ぶことができます。一方、その政府には、公共サービスを通じて人口移動を促進・抑制する力が備わっているのも事実です。その力は、出入国管理といった明確な規制に限らず、教育機会の提供や交通インフラの整備など身近なサービスにも及びます。 封建制 Feudalism中世ヨーロッパには土地保有の慣習を基礎に農業経済が維持される封建制と呼ばれる制度がありました。国王とその家臣との間の軍事的主従関係や、その下で営まれる農業と、領主と農民との間の上下関係が強調されがちですが、封建制の歴史的意義は、その制度を基礎に、ルールに基づく経済社会が何世紀もの長い間、維持されていたことにあります。封建制は、西欧において市場経済が定着した前提条件と言えるからです。続きを読む 2024.04.29
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