はじめに
西洋経済史のおもしろさは、現代社会が成り立つ条件を理解する上で参考になる歴史的特徴をいくつもそこに見出すことができる点にあります。市場経済の歴史と弱者救済の歴史との関係はその一つです。オリエントに起源を持つキリスト教会の影響が大きかったと考えられます。
ヨーロッパには、「経済成長」の歴史よりもはるかに長い「富の分配」の歴史がありました【参考 救貧法】。チャリティの歴史が注目されるのはそのためです。それは、福祉経済の歴史を近現代史の枠内に留めることができない理由でもあります (川名: 2024, 第6章, 第7章)。
現代社会には、様々な慈善団体が存在しますが、中世ヨーロッパにおいても事情は同じでした。例えば、修道院やそこから派生した施療院・救貧院の存在は広く知られています。弱者をいたわることを目的としたこれらの施設は、ホスピタルと呼ばれていました。都市には他にも、カンパニーやギルドと呼ばれる組織が構成員の福祉を目的に数多く誕生しました。商業中心地とされるヨーロッパの中世都市ですが、種々の慈善団体の存在を踏まえれば、救貧及び介護施設のクラスターとして捉え直すことができるでしょう (川名: 2024, 第6章, 第7章)。
参考文献
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Gittings, C. (1984), Death Burial and the Individual in Early Modern England. London.
Maddern, P. (2015), 'A market for charitable performances?: bequests to the poor and their recipients in fifteenth-century Norwich wills', in A. M. Scott, ed., Experiences of charity, 1250-1650. Farnham.
McIntosh, M. K. (2012), Poor relief in England 1350-1600. Cambridge.
Slack, P. (1988), Poverty and policy in Tudor and Stuart England. London.
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