経済現象の研究は自ずと歴史研究に回帰します。複雑な要因により動く経済について読み解くには，長期の時間軸を参照し考察せざるをえないからです。西洋経済史の魅力は，近代経済の原理を欧米先進国の具体的史実にもとづいて研究できるところにあります。社会的分業と個人消費を基礎に商品市場は２１世紀にいたる５００年の間にグローバル化し，人類は国境を越えた金融及び流通ネットワークへの依存度を高めていきます。このように近現代史を牽引した欧米先進諸国。その特質は、民主的な政治システムと社会保障制度を背景に国際公共財を生み出し続ける独特の「経済力」に見出すことができます。最新の研究から、個人の力を生かす独特の社会原理が早くから社会に定着していたこともわかってきました。

　本演習では，新たな世界を切り拓く先進国経済に秘められた経済的・社会的原理の解明を目指して研究を深めていきます。履修者は，欧米経済の歴史が，日本を含む世界のどの経済を評する上でも有効な参照基準の宝庫であることをよく認識し，独自の西洋経済史像を構築すべく研究を進めて下さい。

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