はじめに
「経済」は政治,社会、文化と切り離すことのできない人間の営みであり,それゆえに人々の価値観を変えながら新時代を切り拓く歴史の推進力でもあります。数ある経済の中で、どこよりも早く豊かになったのが欧米経済です。そう感じられるのは、その物質的な豊かさだけにとどまらず、付随して広まる進んだ政治・経済システムやそれを支える普遍的思想と価値観を地球上の多くの人々が知らず識らずのうちに受け入れる傾向にあるからです。大学内で学ぶほぼ全ての学問領域が欧米の経済的繁栄なくしては存在しえないことに気づかずにいられるのは、その影響力が地球上の広い地域でまるで空気のように浸透しているよい証拠です。だからこそ、私たちのような市民に質の高い生活レベルを約束する経済社会のスタンダードが生み出された理屈について知りたくなる。そこで基本専門科目「経済史」では、そんな欧米経済の成立ちについて深く理解することを目標に掲げます。
欧米の経済史を理解しなければならない理由をもう少し立ち入って考えてみましょう。経済力の伸張とともに現れる欧米固有の経済システム,それを貫く思想や価値観は,良くも悪くも日本を含むアジア諸国へ広く影響を及ぼしました。その歴史的意義は、経済発展において欧米に遅れをとったアジアの国々では、それぞれの暮らしのあり方や種々の政策を決める際、欧米経済を支える価値観を受容するか、あるいは、拒絶するかの二者択一を迫られる状況に置かれるようになったことです。もちろん、現実には、受容と拒絶という選択の間に幅広いスペクトラムがあるわけですが、色の濃淡を選ぶ際にも、私たち一人ひとりが欧米経済にどの程度関心を持ち、どのように理解するかが鍵になることは言うまでもありません。その意味で、「欧米経済史」は、地政学的条件にかかわらず目をそらすことのできない必須の国際的知識といえるわけです。
欧米経済史を理解する際に押さえておきたいもう一つの重要な点は、その最終段階、つまり、18世紀後半に起こる産業革命以降、つい最近まで、国際経済の秩序がイギリスとそこから派生したアメリカ合衆国という英語圏の先進諸国によって牽引されてきた事実です。国際ビジネスの共通言語が英語であるだけでなく、学問の分野でも、世界の有力大学において英語環境の整備が必須になっている現実を考えてみましょう。事ここに至った事情は果たして偶然か、それとも、経済論理に支えられた歴史的必然か。その謎解きに欧米経済史の源流を辿る学問的面白さがあるわけです。
そこで本講義では,高度な農業経済の発達と国際市場の開拓を背景に進む都市化と商業化の進展に焦点を当て,各時代において求められた諸制度に触れながら欧米諸国が歴史上直面した経済問題と社会的要請について解説し,欧米先進国経済の成立ちを理解する上で必要な基礎知識の習得を目指します。
西洋経済史についてさらに深く探究したい者は、より高度な知識習得方法を学ぶ「西欧経済史演習」の履修を勧めます。
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*1 2023年度より「経済史・経営史」へ名称変更
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