はじめに 西欧と日本の経済史を紐解くと、都市化の質に大きな違いがあったことがわかります。17世紀にはいずれの地域でも都市経済が栄えます。ところが、18世紀に入ると、都市化の勢いには大きな違いが現れます。社会的流動性にその違いを説明しうるヒントがありそうです。西欧ではジェントリや中間層の人々が躍動していたことがわかっているからです。 都市化と社会的流動性職業選択の自由には、経済的な意味があることは言うまでもありません。労働生産性は、強制されるよりも自ら選んで働く者の方が高まる傾向にあるからです。社会的流動性は、職業選択の自由度をはかる目安になります。また、ある国の社会的流動性の高さがわかれば、その国の経済が慣習の力ではなく、個人による選択力によって成長することを想定しやすくなるでしょう。 都市化が進めば社会的分業のペースも早まります。ヨーロッパの近世は、都市化と社会的流動性の間の相関関係が著しく高まる時代でした。どの文化圏の都市経済も、社会的分業や職業の階層化を促すいわば触媒の働きがあった点は共通していますが、厳しい身分制や移住を禁じる制度によって都市の経済効果が妨げられることが少なかった点で、ヨーロッパの都市経済は特別でした。農村に生まれた子供たちが、将来、農業以外の職業につくことは珍しくなく、地主層の次三男が都市の専門職やビジネスに携わる機会も増加していました 【参考 ジェントルマン資本主義】。また、数多くの婚姻が、都市と農村の男女間で成立していたこともわかっています。
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