TUPD-2025-005

表 題 国境を跨いだ部分的資本提携  Cross-border Partial Equity Ownership
著 者 荒 知宏

福島大学経済経営学類 准教授
東北大学経済学研究科 客員准教授

Arghya Ghosh

ニュースサウスウェールズ大学ビジネススクール 教授

森田 穂高

一橋大学経済研究所 教授

椋 寛

学習院大学経済学部 教授

P D F
掲載元 独立行政法人経済産業研究所 ディスカッションペーパー 25-E-026 
要 旨

企業は、資本を部分的に所有することで国境を跨いだ提携を結ぶことが多い。企業はいつ、どのような理由で国境を跨いだ部分的資本提携(PEO)を結ぶのか?政府はどのような条件下で、企業が国境を跨いだPEOを結ぶことを承認すべきか?これらの疑問に答えるため、本稿では、外国企業1社が自国企業1社と国境を跨いだPEOを結成する国際寡占モデルを構築する。PEOは、貿易コストを回避することで企業の生産調整に役立つが、市場競争を低下させ、ライバル企業の攻撃的行動を誘発する。われわれは国境を跨いだ提携企業間のコストの差が中庸である場合、ライバル企業の攻撃的行動を緩和しつつ、最も効率的に生産を相互に移転するために、企業はPEOを選択することを見出した。しかし、企業がPEOを選ぶ場合には、市場競争の低下によるマイナスの効果が企業の生産調整によるプラスの効果を上回るため、政府は厚生の観点からこのPEOを禁止すべきであることも分かった。即ち、企業のコスト差が大きい場合にのみ、政府は国境を越えたPEOを承認すべきである。

キーワード 部分的資本提携 Partial equity ownership, 国境を跨いだ提携 cross-border alliance, 貿易コスト trade costs, 寡占 oligopoly
発行年月 2025年 3月

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