国際卓越研究大学認定校
東北大学 大学院経済学研究科・経済学部 川名 洋教授(西欧経済史)

Prof. Yoh Kawana(Ph.D. University of Leicester)


経済史のキーワード

東インド会社
East India Company


 

東インド会社

 遠方の地域との取引が増えれば想定すべき市場圏も当然大きくなります。西洋経済史のおもしろさは、市場圏の拡大に呼応して制度と組織が着実に変化していく様を考察できる点にあります。農業におけるエンクロージャーや、政治の分野で目立つ国家形成はその好例と言えるでしょう。

 17世紀におけるビジネスの世界に出現する新しいタイプの貿易会社、東インド会社が注目されるのもそのためです。香辛料や綿織物の取引など実物経済への影響や植民地主義について考えるのも大事ですが、株式会社設立とその後の証券市場の拡大により不動産以外の資産形成の手段が増える経済的・社会的インパクトは計り知れません。地主以外の社会層にも投資のチャンスをもたらし、蓄財方法の民主化を促進したといえます。また、そのようなチャンスは家計収入を増やすインセンティブとなったでしょう。収入増から得られる個々人の満足度は、投資の可能性を踏まえれば、それまで以上に大きくなったと考えられるからです。
2024.06.26
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Last updated : 2024/08/15

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