はじめに政治算術という新たなジャンルを切り拓いたウィリアム・ペティの代表作 Verbum Sapienti の歴史的意義は、広く知られています。その著作には、ペティ自身の私的な目的もあったとされています。例えば、イギリスの失業者数の計算には、当時の経済問題をハイライトするためではなく、雇用対策を促進し、アイルランド物産の需要を増やし、少しでもアイルランドの地主層の税負担を軽減する意図が込められていたというのです。実は、ペティ自身も同地に土地を有する地主でした (Murphy: 2009)。 しかしながら、議会制のもとで政策が決定される政治的プロセスを前提に、判断材料となる正確な情報を社会に提供する手段を提示した意義は否定しえません。ペティの偉業は、国力を示す国富、経済成長、産業に関するデータの政治的価値を見抜いた、先見の明に基づくものでした (Slack: 2004)。 参考文献
|
