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TUPD-2022-016

表 題 Are Public Employees and People with High Public Service Motivation Risk-Averse?
著 者 林 嶺那

法政大学

森川 想

東京大学

小島 健

創価大学経済学部 准教授
東北大学経済学研究科 客員准教授

鶴田 まなみ

大阪大学

P D F
要 旨

リスク選好は官僚に関する行動モデルの基礎といえるが、概念化や操作化についてコンセンサスが得られていない。そうであるにも関わらず、こうしたリスク選好の多様性を考慮して、リスク選好における官民の違いや、公務員のモチベーション(PSM)とリスク選好の関連性を分析した研究はほとんどない。本研究は、リスク選好に関する自己申告尺度と行動尺度を用いて、公務員やPSMが高い者のリスク回避度を分析した。行動尺度としては、リスク回避度を測定するための代表的な手法である複数価格表(multiple price list: MPL)と、高次のリスク選好(慎重さ、節制)を測定するためのクジ選択課題を用いた。自己申告尺度による測定では、公務員は一般的なリスク選好という点ではリスク回避的であった。行動尺度では、公務員はMPLに基づくとリスク回避的ではなかった一方で、より節制的であった。PSMが高い者は、慎重さ・節制の指標ではリスク回避的であったが、自己申告尺度では逆にリスクテイクな傾向が見られた。こうした逆の結果が得られたのは、PSMの下位次元がリスク回避と異なる相関を示しているためである。すなわち、公共価値へのコミットメントが高い者はリスク回避的、自己犠牲が高い者はリスクテイクな傾向を示した。

キーワード 官民比較 public‒private comparison; 公務員のモチベーション public service motivation; リスク専攻に関する表 multiple price list; 高次のリスク選好 higher-order risk preference
発行年月 2022年 10月

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