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TUPD-2021-011

表 題 Natural Disasters, Social Isolation and Alcohol Consumption in the Long Run: Evidence from the Great East Japan Earthquake
著 者 柿本 大輝

名古屋市立大学経済学部 卒業生

内田 真輔

名古屋市立大学大学院経済学研究科 准教授
東北大学経済学研究科 客員准教授

P D F
要 旨

甚大な自然災害の被災者は,飲酒など健康を害するリスク行動を取りやすくなることが知られているが,こうしたリスク行動が長期的にどのように変化していくかを明らかにした定量的エビデンスはほとんどない.本研究では,日本の47都道府県庁所在地に在住する代表的な家計の消費支出データ(2000-2019年)を用い,東日本大震災がアルコール消費に及ぼす長期的な因果影響を差分の差分法によって検証した.その結果、震度6以上の都市における世帯のアルコール消費支出は,震災後8年を経ても,震災影響がなかった都市のそれを有意に上回っていたことが明らかになった.この傾向は,非就業者(主に定年退職者のいる)世帯で特に顕著に見られた.さらに,この傾向は,社会的なネットワークの維持に必要な交際費支出の長期的な減少と連動していることも判明した.

キーワード 自然災害 Natural Disasters, アルコール消費 Alcohol Consumption, 長期的な因果関係 Long-Term Causal Effects, 社会的孤立 Social Isolation, 東日本大震災 Great East Japan Earthquake, 差分の差分法 Difference-in-Differences
発行年月 2021年 11月

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