第6回細谷賞受賞者

授賞式について

2024年11月7日(木)開催

星野 匡郎(早稲田大学),柳 貴英(京都大学)
Hoshino, T. and Yanagi, T. (2024). Causal Inference with Noncompliance and Unknown Interference. Journal of the American Statistical Association, 1–12.

講評
星野氏と柳氏は,曝露写像と操作変数法を利用した新しい因果推論手法を開発し、その統計的性質を証明することに成功した。ネットワークデータを利用した因果推論では、人々の間に生じる波及効果(spillover effects)を要約するためのアプローチとして、曝露写像(exposure mapping)が考えられてきた。既存の研究では、すべての人物が介入の割当
を遵守する理想的なランダム化比較実験のみが想定され、介入割当を遵守しない人物がいる場合が考慮されていなかった。両氏は、操作変数暴露写像(instrumental exposure mapping, IEM)という関数を導入し、複雑な波及効果に加えて介入割当の不遵守を許容する新たな因果分析を提案した。因果分析の実証的なニーズにこたえる重要な貢献となっており、社会科学における統計/データ科学研究の奨励を目的とする本賞にふさわしい成果である。

2024年6月13日
細谷賞選考委員会
松田安昌(選考委員長、東北大学)
大屋幸輔(大阪大学)
新谷元嗣(東京大学)
照井伸彦(東京理科大学)

星野 匡郎氏略歴
2007 早稲田大学政治経済学部卒業
2012 博士(学術, 東京工業大学)
2024 早稲田大学政治経済学術院教授

柳 貴英氏略歴
2010 九州大学経済学部卒業
2015 博士(経済学,京都大学)
2024 京都大学大学院経済学研究科准教授