栗栖大輔(東京工業大学)
Kurisu, D. Power Variations and Testing for Co-Jumps: The Small Noise Approach.
Scandinavian Journal of Statistics, Vol. 45: 482-512, 2018.
講評
高頻度金融データ解析ではmarket microstructure noiseとよばれる観測誤差を伴うことが知られている。本論文は観測頻度が高くなるにつれて観測ノイズの影響が小さくなるsmall-noiseを想定し、複数の金融資産が同時に観測される高頻度データにおいて、2つの金融資産が同時にジャンプしているか否かを、small-noiseの下で検定する方法を提案したものである。small
noiseの仮定の下で構築された検定統計量の漸近理論は説得的であり、数値実験は既存の方法に比べて優れた有限標本特性をもつことを示している。丁寧かつ明快なロジックで論文は構成されている。大きな発展の可能性が期待されている高頻度金融データ解析の分野において、受賞にふさわしい重要で堅実な貢献をしている。
2019年7月11日
細谷賞選考委員会
委員長 照井伸彦(東北大学)
委員 大屋幸輔(大阪大学)
委員 新谷元嗣(東京大学)
委員 西山慶彦(京都大学)
委員 松田安昌(東北大学)
委員 山形孝志(University of York,大阪大学)
栗栖大輔氏略歴
2014年3月京都大学理学部卒業、2018年3月博士(経済学、東京大学大学院経済学研究科)、2018年4月東京工業大学工学院経営工学系助教
授賞式について
2019年11月28日(木) 14:40-16:10 大会議室(経済学研究棟4F)
"確率過程・確率場に対する高次元正規近似"