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Graduate School of Economics and Management, Tohoku University

 
                                            

第4回細谷賞受賞者


授賞式について

2022年12月1日開催予定

會田 剛史氏 (日本貿易振興機構アジア経済研究所)
Aida, T. (2020) Revisiting suicide rate during wartime: Evidence from the Sri Lankan Civil War. PLoS ONE, 15(10): e0240487.  
講評
會田剛史氏はスリランカ内戦(1983-2009)を事例として、現代的な計量経済学的手法によって内戦と自殺率の関係を検証した。氏は、古くから社会学や公衆衛生等で指摘される「国家間の戦争期間中に自殺率が低下する」という現象に関心を持ち、現代の社会情勢を踏まえ本検証の動機としている。各種統計資料を用いて自殺率を複数のコントロール変数とともに収集して県別年次パネルデータを構築し、スリランカ内戦時の県・年の固定効果を含む線形回帰モデルにより、平時と戦時、また係争地域と非係争地域の間の自殺率の「差の差(difference in difference)」を推定した。その結果、戦時中の係争地域の自殺率は43-52%低下することを実証し、戦時中の自殺率の低下は現代の社会的文脈においても成立することが示された。社会科学における統計/データ科学研究の奨励を目的とする本賞にふさわしい成果である。

2022年7月7日   
細谷賞選考委員会               
委員長 松田安昌(東北大学)         
委員  大屋幸輔(大阪大学)         
委員  新谷元嗣(東京大学)         
委員  照井伸彦(東京理科大学)         
委員    Peter M. Robinson(London School of Economics and Political Science)
委員     山形孝志(University of York,大阪大学)

會田 剛史氏略歴
2008/3 東京大学経済学部卒業
2014/3 博士(経済学, 東京大学大学院経済学研究科)
2014/4 日本学術振興会特別研究員(PD)
2017/4 日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員(現在に至る)