工業経済学演習参加者へ(1998年3月6日)
シラバスに記したとおり、宮本憲一『経済大国 増補版』小学館、1989年を使用する。サブテキストとして橋本寿朗『戦後の日本経済』岩波新書、1995年を使用する。いずれも生協文系書籍部にて販売している。
テキスト内の引用文献や宮本氏や橋本氏の別の著作を読んでおくことを指示したが、念のため両氏の主要著作から関連の深いものを列挙しておく。
宮本憲一編『大都市とコンビナート・大阪』筑摩書房、1977年。
宮本憲一『都市経済論』筑摩書房、1980年。
宮本憲一『現代資本主義と国家』岩波書店、1981年。
宮本憲一『環境経済学』岩波書店、1989年。
橋本寿朗『日本経済論』ミネルヴァ書房、1991年。
橋本寿朗『日本企業システムの戦後史』東京大学出版会、1996年。
また、分野別の関連文献は無数にあるが、全体に関わり、かつ最近の研究成果として、以下の文献を勧める。
吉川洋『高度成長 日本を変えた6000日』読売新聞社、1997年。
比較のために、必要と関心に応じて、戦後史を扱った別のシリーズを参照することも役にたつ。以下の2種類が近年の代表作である。
『日本近現代史4 戦後改革と現代社会の形成』岩波書店、1994年。
『岩波講座日本通史』第20−21巻(現代1-2)、岩波書店、1996年。
経済学の辞典を最低一冊手元におき、わからない言葉があるときはすぐにひもといてみることが望ましい。とりあえず、以下の2種類を勧める。
大阪市立大学経済研究所編『経済学辞典 第3版』岩波書店。
金森久雄・荒憲治郎・森口親司編『有斐閣 経済辞典 第3版』有斐閣。
また、ゼミの性格上、時事的な話題も多いので、『現代用語の基礎知識』、『イミダス』、『知恵蔵』の類も1種類持っていることが望ましい。
最初のテキストは5月くらいには終わると思われるので、次のテキストを指定しておく。
中村静治『現代工業経済論』汐文社、1973年、の1-8章
上記の本は絶版であるため、コピーして配布する。このテキストを使用する目的は、工業経済論の基本的な論理構造を学ぶことである。現在、経済学部の基本科目に工業経済学がないことを考慮した措置である。なお、本書は理論的に名著だと私は考えるが、70年代前半の出版であり、古くなったところがあることも否めない。よってゼミではデータの補充や批判的な読解に努力していきたい。
■『経済大国』担当の割当について
さしあたり、以下のように割り当てる。未定部分については、4月になって、最終的なゼミ生の人数が確定してから決定する。
1.経済大国の光と影、経済の高度成長(12〜70頁)
2.都市化と大量消費社会(78〜117頁)
3.「企業国家」と地域開発(118〜161頁)
4.「公害先進国」日本(162〜196頁)
5.過密の都市と過疎の農村(197〜223頁)
6.異議申し立ての時代(224〜257頁)
7.新しい政治の流れ(258〜299頁)
8.「戦後は終わった」(300〜353頁)
9.混迷のなかへ(354〜394頁)
10.戦後世界体制の再編成(395〜446頁)
11.いずこへいくか――世紀末の未来像(447〜489頁)