更新:/2002/07/10
<回答>
もし世界に完全競争市場の市場経済や純粋な計画経済しかなければ、様々な経済構造を論じる意味はありません。また、そこまでいかなくとも、もし完全な市場経済と完全な計画経済だけが理論的に意味のある経済体制だとするならば、実際に存在する経済体制は単に「不純な」だけで、市場経済と計画経済を両極とする直線上のどこかに存在するということになります。つまり、経済体制は、どの程度「市場経済」的で、どの程度「計画経済」的かという一次元の評価軸だけで評価されます。こうなると、純粋な計画経済が破綻するであろうことは理論的に予測がつくし、実際に存在した計画経済のパフォーマンスの悪さという証拠がありますから、どうしても、「市場経済」に近いほど高く評価されるということになります。1章の講義のこの部分で言いたかったことは、このような一次元の評価軸を私はとらないし、おそらくアダムス氏やブロック氏もとっていないということです。実際には様々な構造を持った、色々なタイプの混合経済があり、それは具体的なレベルで色々な角度から評価されねばならないということです。「この経済は市場経済的か、計画経済的か」という風に問題を立てるのではなく、「この経済はどのような構造を持っているか」という風に広い視野からみなければならないということです。