更新:/2002/07/10
<回答>
1.抽象とは、事物や表象を、ある性質・共通性・本質に着目し、それを抽(ひ)き出して把握することです。そのためには、本質的でないと思われることはいったん排除して理論を組み立てることが必要です。抽象理論とは、このようにして事物のもっとも本質的な部分だけを取り出して構築された理論です。実際の経済現象を分析する際には、抽象理論は重要な基準になる一方で、理論構築の際には捨象した具体的な条件をとりいれて分析しなければなりません。たとえば、完全競争を前提とした抽象理論を、現実の不完全な市場にそのまま当てはめるわけにはいきません。
2.主流派経済学とは、学界で優勢な主流の経済学ということです。社会科学の中での経済学の位置という基準から見れば、授業で説明した理論経済学に相当します。理論の中身から見れば、有斐閣『経済辞典』に載っている「新古典学派」「近代経済学」に相当します。つまり、古典派の経済学者の自由主義的な経済観を市場均衡の新しい理論的分析に結びつけて19世紀末から20世紀前半に成立した主流の経済学です。「市場経済学」という用語は普通は使いません。