更新:/2002/05/25
4月22日の講義で、市場経済・資本主義経済は多元的な政治と親和的だと一般に想定されていると説明したことへの質問だと思います。
多元的な政治とは、様々な個人や社会集団が参加を求めて競争している政治状況をいいあらわしたものです。政治学にはもっと厳密な「多元主義」という概念もあります。資本主義社会の理念形では、自由な個人が市場において平等な取引相手として向かい合います。これが、個人の自由と機会の平等が保証される、多元的な政治となじみやすいとされるわけです。しかし、この建前は実現しておらず、ひとにぎりの資本家階級が政治権力を掌握しているという批判も、様々な思想から投げかけられています。たとえば戦後日本に二大政党による政権交代がみられない理由を、自民党が様々な社会階層の利益をとりいれて基盤を安定させているからだとする意見もあれば、自民党を巨大企業の経済力が強力に支えており、これに対抗する勢力が弱いからだいう意見もあります。前者であれば、自民党長期政権の下でも多元的な政治が一応実現していたことになります。後者であれば、巨大企業の利害関係や行動様式に沿って自民党政権が成り立っていたことになります。
(内容は5月14日更新のままです)