現代の産業とこれを担う企業の理論的把握については、経済学・経営学の多様なスクールから問題提起がなされている。今年度の演習では、特に日本企業を念頭において、生産システムと企業システムについての著作を検討していく。
事前の準備と丁寧なテキスト読解を重視する。また、条件があれば工場見学をおこない、調査記録を作成する。
テキスト:
鈴木良始『日本的生産システムと企業社会』北海道大学図書刊行会、1994年。武田晴人編『日本産業発展のダイナミズム』東京大学出版会、1995年。
教官が推薦する参考書:
工業経済学の理論としては、中村静治『現代工業経済論』汐文社、1973年の1-8章が、平易で理論的である。古くなっているところもあり、また、入手しにくいが、読んでおく価値はある。大量生産体制の発展と行き詰まりに関する近年の論争については、マイケル・J・ピオリ/チャールズ・C・セーブル『第二の産業分水嶺』原著1984年、山之内靖ほか訳、筑摩書房、1993年、が出発点の一つであり、いまなお代表的著作でもある。原著を脇に置きながら読むことを勧める。工業経済学・工業経営研究からの生産システム論の動向については、宗像正幸「『日本的生産システム』論議考」『国民経済雑誌』(神戸大学)第174巻第1号、またトヨタ・システムに関する研究として野村正實『トヨティズム』ミネルヴァ書房、1993年、藤本隆宏『生産システムの進化論』有斐閣、1997年を勧める。戦後日本の産業・企業については、『戦後日本経営史』T−V、東洋経済新報社、『日本経営史』4-5、岩波書店、が参考になる。
平常の成績による。