更新日:2001年3月6日
授業科目名 工業経済学 特 論 |
担当者 川端 望 |
授業のねらい・内容 テーマ:製造業のグローバライゼーションとローカライゼーション この授業では、製造業のグローバライゼーションとローカライゼーションの関係について学んでいく。 近年のグローバライゼーションに関する研究や政策論争は、通貨・金融面を中心とするものと、企業活動の展開を中心とするものにわかれている。この授業で取り扱うのは後者であり、特に製造業における日系多国籍企業のグローバルな展開と、グローバルな競争関係の新展開に焦点を合わせる。 まず「グローバライゼーション」と呼ばれている事象の理論的整理を簡単に行い、主要にはケース・スタディをもとにして、その含意を掘り下げていく。問題意識は次の通りである。 1.日系多国籍企業のグローバルな展開 多国籍企業の視点から見た場合、グローバライゼーションは世界の均質化を必ずしも意味しない。多国籍企業の進出先の現地化や、グローバル経営において考慮される地域特性は、グローバルな論理とローカルな論理の相互作用を示唆している。また、途上国における産業開発の視点から見た場合、今日では多国籍企業の進出を抜きには開発の進展が考えられず、ローカルな産業開発とグローバルな企業活動の関係が問われざるを得ない。 2.グローバル競争の新展開 集権的計画経済の崩壊や一部途上国の工業化・中進国化は産業毎のグローバル競争を激化させている。その競争の内実、競争優位の規定要因を検証する必要がある。特に、世界経済における地位や産業のライフ・サイクル的特性によって構造的に制約される側面と、企業・産業集積・政府などによる主体的な制度能力の緊張関係が、産業の競争優位をどのように規定するかに注目する。 製造業のグローバル化は、それぞれの具体的地域における生産活動の展開をとおして行われるしかない。その際の切り口として、@生産システム、A産業集積に注目し、その具体的なあり方を通して実態を分析する手法をとる。 授業形式は、受講者数によって変更するが、講義形式の場合でも院生に報告や討論を行ってもらう。 |
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テキスト・参考書 大阪市立大学経済研究所 森澤恵子・植田浩史編『グローバル競争とローカライゼーション』東京大学出版会、2000年、3800円+税、をテキストとして使用する。このテキストが終了した場合は、別途指示する。内容は以下の通り。 序 グローバル・ローカライゼーション 1 現地生産・開発とサプライヤ・システム −英国日系自動車企業の事例− 2 工場の立地展開と企業間リンケージ −カナダ日系自動車企業の事例− 3 現地生産の展開とローカル・サプライヤ −フィリピン電機産業の事例− 4 産業集積と日系企業 −マレーシア・エレクトロニクス産業の事例− 5 成熟・キャッチアップ・制度的調整 −鉄鋼業のグローバル競争− 6 グローバル競争下の構造再編 −日本繊維産業の分析− |
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成績評価の方法 平常の報告とレポートによる。講義の難易度については、以下のホームページで一昨年の資料を参照されたい。 http://www.econ.tohoku.ac.jp/~kawabata/jugyo1999.htm 5月末までに申し出た場合に限り、履修放棄を認める。 |
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留意事項 上記テキストを必ず入手すること。なお、全頁コピーをしてはならない。 |