U
4
3・4年
あり。講義開始時に発表する。
この授業の狙いは、企業を経済学的に理解するための基礎的な理論を学ぶことである。多様な主体の経済活動は、近代経済学では主として「市場における価格メカニズム」によって、マルクス経済学では主として「価値法則と資本の運動」によって調整されるものと想定されている。しかし、企業に関わる様々な経済現象を念頭に置けば、そこでは、様々な制度によって、価格以外の要因を折り込んだ調整が行なわれている。その理由は何であり、経済学的にどこまで、どのように説明できるであろうか。この授業では、こうした問題意識から、企業の存在、イノベーション、労使関係、コーポレート・ガバナンスなどについて論じていく。
テキストは使用しない。主要な参考書として、近代経済学関連部分はポール・ミルグロム/ジョン・ロバーツ(奥野正寛ほか訳)『組織の経済学』(NTT出版、1997年、5500円+税)を中心とする。マルクス経済学関連部分とケース・スタディは多数の参考書があるので、ホームページに掲載する(留意事項欄参照)。
若干の変更がありうることを了解されたい。
T はじめに
U 近代経済学における新制度主義の企業論
1 理論的・歴史的文脈/2 基本的前提と分析基準:経済組織と効率性/3 市場と価格によるコーディネーションとその限界/4 様々な制度と情報によるコーディネーション/5 限定合理性と私的情報/6 モラル・ハザードと業績インセンティブ/7 リスク・シェアリングとインセンティブ契約/8 レントと効率性/9 所有と財産権
V マルクス経済学の拡張としての企業論
1 理論的・歴史的文脈/2 基本的前提と分析基準:労働・資本・所有の三層システム/3 労働力商品の特殊性と労使関係論/4 協業と機械化の経済学/5 機械化と労働のダイナミクス/6 分業と技能の制度的理解/7 資本蓄積と株式会社
W 企業の複線的・制度的理解を求めて
X ケース・スタディ 「年功賃金」・「能力主義管理」・ジェンダー
出席はとらない。100点満点のうち、レポート1回と期末試験のそれぞれに50点を配点する。
従来の合格率など関連情報は http://www.econ.tohoku.ac.jp/~kawabata/jugyo.htm を参照。