@産業のライフ・サイクル ―成熟・衰退・脱成熟を中心に― A企業・産業分析のトレーニング
@この授業では、先進国における産業の成熟・衰退・脱成熟に焦点をあて、その必然性、可能性、環境条件、パターンなどを考えていく。理論的蓄積を学ぶとともに、ケースとして戦後アメリカ鉄鋼業をとりあげ、その成熟とリストラクチャリングをどう把握できるかを考えていく。A秋には施設見学を軸として対象企業・産業についてのテーマ別研究をおこない、記録・レポートを研究室のワーキング・ペーパーとして作成する。この研究は学部ゼミと合同で行なう。
<関連する理論的・歴史的トピック>プロダクト・サイクル論、成熟産業の経営戦略論、内部労働市場と「雇用官僚制」論、生産システム論、アメリカ・ビッグ・ビジネスの歴史、レギュラシオン・アプローチ、蓄積の社会的構造論、経営者革命と株主反革命
<ケース・スタディのテーマ>アメリカ鉄鋼業の「衰退」再考 −先進国鉄鋼業の「成熟」仮説−戦後アメリカ鉄鋼業の成長と成熟 −1950〜60年代−岐路に立つアメリカ鉄鋼業 ―1970年代―アメリカ鉄鋼業の危機とリストラクチャリング ―1980-90年代― ミニミルの成長と成熟
院生が、以下のような文献を手分けしてレビューする。多少の変更がありうる。
Raymond Vernon, International Investment and International Trade in the Product
Cycle, The Quarterly Journal of Economics, May 1966.
Alfred D. Chandler Jr., Kim B. Clark et al., "Competitiveness and Capital
Investment: The Restructuring of U.S. Industry, 1960-1990", Business
History Review, Vol. 68, No. 1, 1994.
Etsuo Abe and Yoshitaka Suzuki eds., Changing Patterns of International
Rivalry: Some Lessons from the Steel Industry, University of Tokyo Press,
1991.
日夏嘉寿雄『成熟産業における戦略展開と経営資源』ミネルヴァ書房、1997年。
W.アバナシーほか『インダストリアル・ルネサンス』興銀産業調査部訳、TBSブリタニカ、1984年。
安部悦生『大英帝国の産業覇権』有斐閣、1993年。
Roger S. Ahlbrandt et al., The Renaissance of American Steel, Oxford
Univ. Press, 1996.
Garth L. Mangum and R. Scott McNabb, The Rise, Fall, and Replacement of
Industrywide Bargaining in the Basic Steel Industry, M.E. Sharpe, 1997.
この他、アメリカ鉄鋼業に関して、教官が研究報告をおこない、討論する。また、施設見学会前後には、当該企業・産業に関連する文献・資料を用いる。詳しい情報は、随時ホームページ http://www.econ.tohoku.ac.jp/~kawabata/index.htm に掲載する。各種問い合わせは、kawabata@econ.tohoku.ac.jp まで。
平常の報告・討論とレポートによる。大量の文献を読んで報告することと、ゼミで発言することが必要条件である。
参加者と相談の上で時間割を柔軟に運用するので、説明会(一回目のゼミ)に出席すること。