ミニットペーパーno.4
1.ヨーロッパ統合について、国家の枠組みが崩れてボーダーレス化が進み、逆に地域がクローズアップされつつあると、何かの本で読みました。この状況は、フランスにとって、ひとつの国家として成り立つには都合が悪いのではないでしょうか。
2.フランス人がアメリカに対して抱くイメージの変化がとても興味深かった。以前まで描いていたアメリカへのプラス・イメージがマイナス・イメージへと変わった理由をもう一度説明していただけますか。
3.教育に関して、日本ではやる気を持たない子供たちは社会的に低い地位の親を持つというのは、そのとおりだと思った。しかし、出世の成否は、フランスとは違い、能力主義に近づいており、その点で可能性がある。また、フランスの低い社会的地位の親たちは、その夢を否定された教育を甘んじて受け入れるのだろうか。
4.イラク戦争のときに、すぐアメリカの政策に反対したフランスの姿勢には、アメリカに対抗する勇気があり、しっかりと自国の意志を表明できることに、うらやましささえ感じたものです。学歴主義については、エリートと庶民で学校や仕事に格差があることは、イギリスが階級社会であり、階級によって大体将来の進路も決まってゆくということを思い出させます。
5.「大市場の論理」は、ヨーロッパ統合の流れのなかで出てきた論理だが、市場を求める活動には長い歴史があると思うので、EUに関連して出てきたこの論理が、そのなかでどう位置づけられるのか、興味深い。ルソーが未開と肯定していたという話だったが、近年のバルカン史では、啓蒙の時代に東欧・バルカンに対する「未開」・「野蛮」というマイナス・イメージが生まれたという議論が活発である。そういった議論のなかでルソーはどう取り上げられているか、調べてみたいと思った。
6.イラク戦争時のアメリカに対するフランスは、一貫して否定の立場をとっていたのをテレビで見て感心していたのですが、今回、その背景にあるものを知って、純粋に驚きました。また、教育の話は、日本のような教育のあり方しか知らなかったので、学歴によって階層が決まってしまうフランスの現状を知り、その現状に対して何の対策も講じないのは、日本とフランスの気質の差なのでしょうか。あと、文化的再生産が日本でも始まっていると聞いて、正直愕然としました。
7. 大市場理論の所で、自国の市場が広い方が経済発展に有利とありました。日本はフランス並に市場は小さいのに何故、アメリカ並に経済発展したんですか?考えられるのは輸出国としてのアメリカの存在ですが…もし、日本がアメリカを市場として発展したなら、フランスも適当な輸出先を探せばOKなはずです。わざわざヨーロッパ統合の形をとらなくてもよかったのでは? 統合の方が単に貿易するより面倒だと思うんですけど。もうひとつ、大市場理論からすると経済のグローバル化って、それぞれの国が一番経済発展する方法に思います。地球以上広い市場なんてないのだから。でも、競争力のない国は経済発展どころか圧迫されますよね マーケットだけあればいいわけじゃない。この理論、欠陥理論では?
8. カナダではフランス語を話せなければ社会的に上位へ上れないというのを思い出し、エリートがエリートであるための作られた価値観に結局は支配されるのだと思った。
9. フランスのアメリカに対するコンプレックスを大変感じた。中央集権による管理が私的な意識を生み、政治を不安定にさせ、地方分権による自治が結果として公共の精神を育み、却って民主主義を安定させたという。米仏の民主主義の違いがその後の国の発展に影響を与えたのかなと思うと興味深い。
10. 現代の日本の教育で文化的再生産の傾向がみられるというのは、とても興味深い話だった。これは昔にくらべ日本の庶民の生活が裕福になってきたことで、庶民が貧しかった頃のようなハングリー精神のようなものが薄れてきたからではないだろうか。変化の激しい時代において、現代社会がもとめているのは発展よりも安定といえるのでは…。
11. アメリカに関する話がありましたが、私は「アメリカは工業も農業も商業も発達していて自由な国だ」と小学校の時に教わり、素晴らしい国なんだと思っていました。しかしテロをきっかけにアメリカの外交に対する強硬な姿勢や、今だに残る差別などについて改めて考えさせられ、私自身アメリカがすごく嫌いになってきています。ガソリン代が高いのもアメリカのせいです。今イチローがシーズン最多安打の大リーグ記録を塗り替えようとしていますが、ぜひ記録を更新して、アメリカ人をぎゃふんと言わせてもらいたいです。
12. アメリカとイギリスの関係は興味深かったです。アメリカの腰巾着と呼ばれる日本と違い、フランスはきちんと自国の意見を主張できる点を以前からすばらしいなと感じていたのですが、このような背景があったことを初めて知りました。次にフランスの教育についてです。こんなにすごい学歴社会は教育本来の目的が達成されず、教育の意味がないと思いました。このような学歴社会・文化的再生産を打破する方法はないのだろうかと思いました。また、フランスでは昇進はほとんどみられないと言われてましたが、降格はないのですか?
13. フランスはアメリカに対して、複雑な感じを持っていることがわかった。
14. フランスがアメリカに対して微妙な感情を抱いているのと同様に、アメリカもフランスに対して文化面に対して等などコンプレックスを抱いているのだろうと思われる場面をよくアメリカ映画などで目にする。アメリカのエリートがフランス語を学ぶことにも、フランス語は文化的、もしくはアメリカがフランスに対して微妙な感情をもつ発露なのだろうと思った。
15. フランス人が自国の言語や文化に誇りを持ち、非常に大切にする国民であることは知っていた。しかしアメリカとフランスの関係性の歴史的背景を講義の中で聞き、改めて現在に至るまでのフランスのそういった特性について考えるきっかけになったと思う。また、フランスの教育事情は興味深かったのでイギリスの階層による教育の格差など、他の国も
抱えている教育の問題について勉強してみたいと思う。
16. フランス人のアメリカ嫌いの理由が啓蒙思想時代からの憧れに似たプラスイメージと、大戦後の地位の逆転によるマイナスイメージが複雑にからんだものだと解ったが、プライドの奥はヨーロッパ全体の歴史の重みというものが支えている気がする。プライドとか階層に基づく複線主義とそれに連鎖する学歴主義は、フランス革命で打倒されたはずの身分制の名残のような気がした。
17. 今回は貴重なお話をありがとうございました。ヨーロッパ統合について、アメリカの脅威に対抗するためという点に関しては、経済的側面だけでなく「ヨーロッパ」としての権威を復興したいとの思い、カトリック世界の再構築というものもあるのでしょう。それにしても一般のひとはどう感じているのだろう?地域主義と統合の傾向は逆のようでじつはおなじものが底流にあるのでしょうか。
18. 個人的ですが最後に先生の血液型と仙台弁を教えてください。
19. フランスの特徴をさまざまな面から教えてもらえてよかった。また日本との違いを教えてもらい、同じ民主主義で先進国でもかなり差があったり、似てるとこもあることがわかった。
20. フランスは、アメリカと同じ英語圏の国であるイギリスには対抗意識を持っていないのですか?フランスの教育システムには問題点が多いみたいですが、改正されないのですか?
21. 文化的再生産に関してはやはり日本でも起きつつあるのではないかと感じた。教育の結果に起因する親から子への有形無形の影響は無視出来ないと思う。教育を通じての社会的格差が広まり過ぎ、教育を通しての社会的上昇が不可能になると、結局は以前の貴族制度にも似た状態になってしまうと思う。
22. フランスがアメリカを意識していることはよく聞くが理由はしらなかった。その背景が詳しく説明されたのでおもしろかった。教育制度については平等を保証するはずのものがエリートによって文化的再生産に使われていたことが民衆が余計に生きにくい社会を作るのだと思った。
23. 文化的再生産の話が特に興味深かったです。現在は何か対策が取られているのでしょうか。
24. 庶民は庶民のままで、エリートはエリートのままというのは、インドのカースト制度のように思えた。庶民がいくら努力しても出世できないような教育体制では、社会は保守的なままで新たな発展はないのではなかろうか。
25. 将来へのレールが幼いときに、しかも社会階層によって決まってしまうとは驚いた。こんなチャンスのないしくみでは、個人の可能性を最大限に発揮できないのではないだろうか。これもまた、自由な国のイメージとは違う意外なものだ。このしくみにフランス人は抵抗感はないのか不思議に思った。
26. フランスの学歴主義と文化的再生産について非常に驚かされました。生まれた階級によってその後の人生の大半が決まるのでは、身分制と大差がなく、貴族や聖職者がエリートにかわっただけで社会的には革命前と変わっていないように感じました。官僚はエリートの仕事のようですが、政治家もやはりエリートからしかでないのですか?庶民出身の政治家はいないのでしょうか?
27. 日本が学歴主義の部分が残っている、という指摘がありましたが、それは根強く残っていると思います。自分の経験を振り返ってみて、バイトの待遇1つをとってみても、フリーター時代と現在(=学生時代)を比較するとフリーター(=高卒)とそれ以上とで歴然とした差がありました。また、知人に公務員U種とV種の者がいるのですが、両者の給与や昇進には明らかに階層的な差がありました。それと、文化的再生産は未だに爵位制度が残存しているイギリスの方が強いものかと思っていましたが、教育制度の整備や発展などの経緯から、フランスでも根強く残っていると知って驚きました。フランスのアメリカに対する反発がしばしば、優越感の裏返しだとは思っていましたが、啓蒙思想家の時代にその歴史的な起源を持ち、両大戦を境に両者の地位が逆転したという事情に拠るものだということまでは知らず、勉強になりました。ところで、イスラムの欧米への反発には、かつて中世にはイスラムが文化的に優越していたことなどを思い出し、米仏の関係に似ているように思いました。
28. 日本は学歴主義はないのは表向きだけであらゆるところでまだ存在していると思います。けれど日本では国立大学入試では難関を突破しなければならないので真の学歴社会ではないと思います。
29. 日本とは全く違うアメリカ観は興味があります。日本もフランスのように、自国の立場を主張できたら良いのになぁと思います。イラク戦争に関してフランスが大反対してたのは反戦だけかと思っていたのですが、いろいろ内情があったのですね。フランスは今現在、どこまで地域が重視されてきているのでしょうか?日本と同じようになんだかんだ言って中央が強いままなのでしょうか?
30. フランスの凄まじい学歴主義を知って、日本の学歴主義はゆるいのだなぁ、と思った。しかし、日本でも文化的再生産はたまに実感することがある。東大や京大にはよりお金をかけて教育された子供が入る傾向が強まっているし、教育費自体も年々高まっているという話をたまに聞く。社会が成熟してくると階級の固定かが進んでくるのかな、と思った。
31. フランスでのアメリカのイメージが悪くなっていったことはアメリカが経済的に発展していったことにある。今では世界事情がほとんどアメリカの思惑通りに進みつつあるように感じられるが、ヨーロッパ地域は統合することによって、アメリカ以外の勢力圏を作りだそうとしてきていると思う。
32. 学歴偏重はやはりメリットよりもデメリットの方が強調されるのだな、と改めて感じた。フランスがそこまで学歴偏重社会だったと知って驚いた。階層はなくなってもエリートと庶民の格差はなかなか埋まらないものなのだなと感じた。
33. ヨーロッパ統合までのフランスの動き、アメリカに対する国民感情の優劣の変化がおもしろかった。フランスの学校がエリートと庶民を住み分けする制度であったことに驚いた。その影響でフランスの政治はエリートまかせになっていて、ストも頻繁に起こる結果になっているのなら、昔のはなしとは言え学校教育の影響はおそろしいものだと感じた。
34. 教育問題に少し興味があるので、フランスの教育の歴史・実態は興味深かった。そして、教育というものの影響力を痛感した。教育が身分や地位をかたちづくってしまう、しかも、再生されていくという実態は果たしてよいものだろうかという疑問を人々に投げ掛けるであろう。なによりも、こうした事態をあきらめた目でみないことが必要であると思う。
35. フランスとアメリカの関係は、今のイラク戦争に対する意見の違いを見ても分かる。二国の地位の逆転、イメージの変化の流れがよく分かった。教育についてもフランスの制度では、多くの問題点があるように思う。
36. フランスのアメリカへの感情が歴史を追うことでとてもわかりやすかった。日本も地方分権の流れになりつつあるのでそのあたりも詳しく教えてもらいたかった。
37. アメリカを模範とした時期があったことが意外だった。ヨーロッパ統合の動きはごく最近のことだと思っていたので、冷戦時代からの流れを汲んでいることを知って驚いた。単一通貨を使用することでの経済的なメリットは本にも書いてあったが、デメリットは何かないのだろうか?
38. 中央集権化によって作られたフランスの民主主義が、アメリカの民主主義と質がことなっていることがとても興味深いところでした。エリート主義による政治が国民に広く認められているのもこの中央集権化が大きく影響しているのだと思いました。
39. 今回の講義テーマは教育論であった。特に興味深かったのは文化的再生産に関してである。実際、エリートの子供は高等教育を受けエリートになり、庶民の子供は満足な教育を受けれないため庶民のままである。また、日本ではものすごい学歴主義はないということであった。しかし、私は日本はかなりの学歴主義であると思う。東京大学法学部を卒業したものはキャリア組として扱われて、それ以外のものとは出世の度合いが違う。確かに最近になって学歴偏重主義の見直しが始まっているが、やはり依然として根強く残っていると私は思う。
40. 「教育が文化をランクづけする」という所がとても興味深かった。現在でも国によってこれだけ国民性が違っているのは、その国独自の教育が大きく影響していると思う。
41. フランスとアメリカの関係は、今のイラク戦争に対する意見の違いを見ても分かる。二国の地位の逆転、イメージの変化の流れがよく分かった。教育についてもフランスの制度では、多くの問題点があるように思う。