ミニットペーパーno.3
1.戦争後や気候などの変動で不作に陥ると、歴史上は必ずといってもいいほど暴動が起こった。たいていは穀物を略奪して終わるが、食料騒擾では穀物を人々に販売し、その代金を所有者に返金するということが驚きだった。現在貧しい国はたくさんあるが、そのような生存を優先するモラル・エコノミーが起こらないことを不思議に思った。
2.遺伝子組み換え食品に対して暴動が起こったことをはじめて知りました。私人による経済介入という考え方は今の日本では考えられないが、それだけ現在の日本は経済的に余裕があるということでしょうか。方言について、歴史的にさまざまな扱いを受けてきたことがわかりました。
3.フランスでは革命時に「地域主義=反革命」とみなされていたことに、とても驚きました。また、日本にもモラル・エコノミーという考え方が存在しており、さらに、それが米騒動という事件にも関係しているということに関心を持ちました。
4.フランスの民衆が生存という目的のために合理的に行動したことは、考えてみれば当然かもしれない。民衆も、それほどバカじゃない。米所有者と民衆との利益を考えて動くことも考えられる。
5.最後のほうで来たので、あまりお話を聞けませんでしたが、モラル・エコノミーという考え方に興味があります。農村社会史などの研究では、この考え方によって騒擾などの研究がなされているように思うのですが、そのあたりを少しお話ししていただければと思います。ぼくは義賊などの活動にも興味があるので、そういった農村社会史の方法論的なことでもお話しいただければと思います。
6. FRの話で、穀物所有者を襲撃し穀物を奪っておきながら、それを販売して得たお金は所有者に返すというのは面白いと思った。
7. 絶対主義が、フランス近代のはじまりだといわれていましたが、「近代」の定義をどのようにお考えですか。やはり軍の存在は重要でしょうか。
8. 日本では既に食によって生存が脅かされるという意識が希薄になってしまったのだろう。今後食の安全や安全保障にについて国民の知識が高まれば、行動が起こる可能性もあると思う。
9. FRの特徴で民衆が穀物所有者から略奪した穀物を売って代金を返すことは不思議だったが、その行動に彼らなりの経済合理性があるということで納得できた。日本にも同じモラルエコノミー的なものの考え方があったにそれを受け入れる環境が違うことでうまくいかなかったのは残念だと思った。
10. フランス人の、地方に対する考え方や生存権へのこだわりを知り、フランス人の価値観に触れることができました。現在日本でも三位一体の改革などとともに地方分権が叫ばれており、地方と中央の関係は考えるべき重要な問題だと改めて思いました。
11. Food Riotについてです。現在の日本の考え方とまったく異なるので勉強になりました。以前の日本にも似たような例があったのにはほんとうに驚いてしまいました。日本の法では、権利や自由は公共の福祉に反しないかぎり尊重されますが、自由の国の代表と称されるフランスにおいて所有権よりも生存権が尊重されることは本当に以外で信じられないぐらいです。
12. 「身分から国家へ」という流れまではよかったのに、地域主義までもが否定され、中央集権化が進み過ぎたのは残念だと思った。FRについてのフランス人の考え方は理屈は通っているようだが、私は違和感を感じた。自分の権利を主張する前に、他人や周りの事が気になるからだ。生存権を最も主張するのは単純明快で、日本人はそんな風に、率直で大胆に行動できない国民性だと思う。
13. 第8回の講義で合邦を推進した歴史的背景が Prince of Wales の称号に残っている、と話されてましたが、それではフランスの王太子領であるドーフィネ領には何かそういういわれは無いのでしょうか? また、第9回の講義でモラル・エコノミーについて日本ではいつ無くなったか、と仰ってましたが、喧嘩両成敗的な裁定が下されることが無くなり、近代的な裁判制度・法体系が導入された結果、戦時中に隣組のような、江戸時代の農民統治に見られる連帯責任制が却って強化された統治が行なわれたこと、約言すれば、如何なる事情があろうとも犯罪行為を取ること自体が悪である、と見做されるようになったことが原因にあるように思うのですが、先生はどうお考えでしょうか?
14. 日本では公用語は日本語であり、方言はその派生なのでわざわざ区別して表示することもなく、バイリンガル表記と言われれば英語やハングルが思い出せます。フランスでは今までの歴史から、系統の異なる言語が使用され、それがしかも方言として表されていると知って、改めてフランスという国の歴史の複雑さを知ることになりました。また、遺伝子組み替え食品に対する日本人の反応は直接的な行動はしなくても、思考的にはFRに通じるものがあると思います。
15. 地域主義について、日本のなかでも 所謂大和的な文化とは異なる地域が存在するのに、フランスのような地域主義があまり主張されないのは、日本が島国であるという地理的な条件の他に、フランス革命に相当する江戸から明治時代にかけての改革が上から推し進められたことによることに関係があるのかと思った。
16. フードライオットでエリート階級が生存権に基づいての公正価格をまともに支持したとは思えない。地主たちは市場価格のままのほうが利益を得られる 有力な地主はまず、政治家に結び付いているはずなのでエリート階級としては地主のために公正価格は認められないと思う。また、一定の価格にするとエリートも労働階級も同じぶんしか穀物が手に入らないと思う。常に上にいたいのがエリートなのだから需給率の公平性は認めたくないと思う。なので 市場に穀物がでる前にエリート階級の搾取があったのではないだろうか
17. フランス革命の際、地域主義=反革命とみなされていた理屈がいまいちよく理解できなかった。地方独自の文化を大切にすることと身分制は関係ないと思うのだが。
18. フランスではFRのようなことが公的に認められていたとうことに驚きと衝撃を受けた。そうなると、所有者側としてはFRに対して激しく抵抗したのか、それともすぐに降参または友好的に解決しようとしたのか疑問に思った。
19. FRは面白い現象だなぁと思いました。代執行はまさに「自分のことは自分で」の考えが表れているような気がします。江戸時代の米騒動もモラルエコノミーの考え方があったのでしょうか?米騒動は米を奪い去って行く…というイメージがあったので、1918の米騒動に関してはちゃんとモラルがあったということわかって、少しうれしくなりました。
20. 登録してませんが授業もぐらせていただいてます。毎回楽しいです。FRの理念についてはよくわかるのですが、この考え方はアメリカの大義があれば空爆OKというのに近く感じます。そして最終的には手続きを通した正当化より力が優先されてしまうのではないでしょうか。何か歯止めのようなものはあるのでしょうか。
21. フランスは革命によって民主主義を勝ち取った経緯が、こうした積極的な行動の根本にあると思う。日本ではどうしても(最近は変わりつつあるかもしれないが)、事なかれ主義的な観点から、見方によっては過激なフランスの様な行動は起こしにくいのではないか。こうしたフランスのやり方に魅力を確かに感じるが、フランスのやり方が、良いのか?と言われれば、全面的に肯定は出来ない。国民性の問題かもしれないが。
22. 国民としての概念を与える他に国民統合の方法は無いのですか?
23. 食料騒擾について、民衆が略奪した穀物を販売し、代金を所有者に返すというのはとても面白い考え方だと思いました。しかし民衆がエリートの代わりとして価格設定を行っているという認識であったのなら、食料騒擾を起こさなければいけないまで価格調整を行わなかったエリート達に対する不平や不満は存在しなかったのですか。また食料騒擾から民衆反乱に繋がったことはないのですか。
24. 「民衆的価格設定」で、公正価格は「民衆の生存を可能にする価格」ということですが、どのくらいの経済状態の民衆を対象としていると考えれば良いのですか?例えば最も貧しい民衆が生存可能なのか、平均的な民衆なのか。聞き逃しかもしれませんが。
25. モラル・エコノミーは、アメリカや中国ではないのでしょうか?
26. 食料騒擾という言葉は初めて聞いたので、説明を聞いていてとても新鮮でした。日本の米騒動とも違うのですね。
27. モラルエコノミーの考え方が主流だった頃はまだ民衆の意見を政治機関に反映させるだけの組織が整っていなかったから、というのも理由の一つだと思う。むしろ市民が積極的に革命を押し進める印象の強いフランスと、あまり直接行動をするイメージのない日本人が過去において共通の考えを持って行動していたことの方が意外だった。それぞれの国民に対するこういったイメージはいつ頃定着するようになったのだろうか。
28. フランスと日本ではほぼ似たようなモラルエコノミーが存在していると思う。日本ではどうして上位の階層が支持することできなかったと思う。時代背景は関係していると思うが民衆の私欲ではない考え方は私欲に満ちた上位の階層よりよっぽど先見性は素晴らしいと思う。
29. FRでの生存権優先の考え方が、現在の遺伝子組換問題の考え方にもみられることが興味深かった。FRで民衆が勝手に穀物を販売し、その代金を所有者に返すというのは、最初理解できなかったが、民衆の考え方を知り少し納得できた。またエリートからも支持されていたということは意外だった。
30. 市場経済の中で民衆が自分たちなりの経済合理性をもち行動しているということに興味をもった。私も社会集団に属したなんらかの経済合理性をもっているのだろうか。米騒動に経済合理性があるというはなしも初耳でおもしろかった。
31. モラルエコノミーが消失するという事は民衆の経済的な余裕を示しているのでよいと思います。それによって公正価格と市場価格に大きな差が生まれないのではないでしょうか。
32. 所有権と生存権を比べると確かに生存権を重視するべきだと思います。けれどそればかり重視して私人による経済介入を認めてしまうと自由主義は崩れてしまうと思います。そのような考えによる事件が認められてしまう社会にはしたくないです。
33. 世界恐慌前までは、市場経済介入は全くないと思っていたが、モラルエコノミーという民衆による市場介入が行われていた事を知って驚いた。形も目的も世界恐慌後の市場介入とは全く異なるが、市場経済を「神の手」に任せる考え方の問題点は19世紀半ばにはもう挙がっていたのでは、と考えると非常に興味深く思う。
34. 略奪した食料を売ってお金を返すということが以外に思えたが、説明を聞いてみるとその仕組みがわかった。昨日の話からもフランスは日本より個人の自由よりも全体を優先する傾向にあるのかなと思った。
35. 今回と前回の講義で特に興味深かったのはモラルエコノミーという言葉だ。この言葉は初めて聞いた言葉で説明を聞いただけでは、抽象的な概念でピンとこなかったが、富山の米騒動の例を聞いてそれがどういうものかわかった。現代の日本ではもう見られないが、民衆が自分なりのロジックを行使して生存のために戦うというのは必要なことではないかと思った。
36. 経済の最大の目的が生存ということになると、具体的にこのような行動が許されるのか、と驚いた。でも穀物を略奪した人々がきちんと売り上げ金を返すことにも驚いた。彼らは生存を第一の目的として穀物を奪い売っているが、自分の分はやっぱり自分でお金を出して買うのだろうか…?というあたりが気になった。
37. 日本とフランスの違いについてこれまでも色々とやってきたが、地方自治についても顕著な違いがあることに驚いた。教科書にもある零細コミューンにいたっては日本の町内会や自治会みたいな印象をもった。ちなみに、コミューンはパリ・コミューンの名残なのだろうか?
38. 今日の新聞で米産でBSE牛の対策と輸入について小泉首相、ブッシュ氏のやりとりを見たばかりなので、食に関するTOPIXは新鮮でした。米側の輸入要求と日側の検査要求がぶつかった形となっていましたが、こと食に関する問題については他の商品と違い、倫理と経済との折衝があることに改めて気付かされました。