マイエンヌMayenne県文書館(2007年2月訪問)

ペイ・ド・ラ・ロワールは、旧メーヌ地方、旧アンジュー地方、旧ヴァンデ地方、そして主導権争いに負けてブルターニュ地域圏を追い出されたロワール・アトランティック県からなるという、ごった煮的な地域圏である。このうちサルト県とともに旧メーヌ地方を構成しているのがマイエンヌ(Mayenne)県。県庁所在地は、ル・マンとレンヌのあいだにあるラヴァル(Laval)になる。

マイエンヌ県文書館ADMは、国鉄ラヴァル駅(駅前工事中)から歩いて数分という地の利の良いところにあり、新古典派様式の目立つ閲覧室棟と、外側を板でおおったエコロジカルな保存庫棟からなっている。駅を背にして前方左手のルクレール元帥(Marechal Leclerc)通りを数分歩くと、右手にそのものずばり「文書館通り」という道があるので、そっちに折れて数分、という感じ。駅から近いというのはいいなあ、ちょっと歩けばカフェやレストランが簡単にみつかるし…というよりも、県文書館は、そもそもは町の中心におかれたが、所蔵資料の増加にともなって郊外に移転する、というパターンが多いようだ。ADMは移転するほど資料が増えていない、ということなのだろう(もっとも現在の建物は数年前に新築されたばかりではある)。
名称  Archives departementales de la Mayenne
住所  6 place des Archives 53000 Laval
開館 月曜から金曜9時〜17時、土曜9時〜12時&13時30分〜16時
長期閉館はなし

まずもって閲覧室棟の入り口がわからず、建物の周りをぐるりと一周。そこだけ安っぽいメタリックなドアを押すと、目の前に受付がある。登録し、ロッカーに荷物を預け、隣りにある閲覧室に進む。閲覧室はさほど大きくないが、利用者も少ないし、マイクロフィルムやデジタル化された史料を見るスペースとは区切られているので、平穏そのもの。資料請求の方法も大体いつのものパターンだが、利用者が少ないためか、請求すると(30分に1回ではなく)適宜保存庫に史料を探しにいってくれる。スタッフは親切で、ぼくは受付のスタッフにホテルの手配までしてもらったのだった。

ちなみにラヴァルの中心街は、駅前の道をぶらぶらと下り、しばらくすると県庁があるので右折し、さらに歩くとマイエンヌ川にぶつかるが、その川沿いにある。夕方の散歩にはちょうど良い規模だが、観光名所という感じではない、まさに田舎町である。しごとが終わり、夕食を食べるべく町をさまよっていると、小さなパン屋の店頭に「レトロドール」というシールが張ってある。レトロドールといえば東京駅丸の内口の某パン屋が使っている高級小麦粉として有名だが、こんな田舎町のこんな「町のパン屋」でも使われているものだということを知り、ちょっと驚く。ちなみにわれらが東京駅丸の内口ではたしかバゲット1本320円だが、そのほとんどは輸送費と家賃なんだろう、きっと。