経済学入門A(2002年度)シラバス

 

授業科目名 経済学入門A

 

期  1        2 単位

 

授業担当者 川端 望

 

                     1 年

 

オフィス・アワー 授業時に指定する

 

研究室  6618号室   電話 217-6279

Eメールアドレス 

授業のねらい・テーマ

 市場経済に対する政治経済学の考え方について学ぶ。広義の政治経済学は、「制度や権力配分が経済のあり方を規定する」という考え方に立つ学問であり、理論経済学(近代経済学)と対をなす。

 テキストは、計画経済から市場経済への移行を扱っている。そこでは、市場とはそもそも何であるのか、社会の中でどのような位置にあるのか、政治や文化や慣習とどのような関係にあるのか、市場経済は自由や平等とどのような関係にあるのか、経済を自然科学のように記述することはどこまで可能か、といったことが扱われる。これらについて、アメリカや日本、旧ソ連・東欧などの事例を使いながら学んでいく。

 

テキスト・参考書

テキスト:ウォルター・アダムス&ジェームス・W・ブロック『アダム・スミス、モスクワへ行く ―市場経済移行をめぐる対話劇―』(川端望訳、創風社、2000年)。

参考書:『有斐閣経済辞典第3版』有斐閣、1998年)。

授業の内容もしくは予定

 

序論 政治経済学とは(簡単な定義と分類、古典派、マルクス、新古典派、二つの現代制度派)

 1 「市場経済」の何がどう問題か(市場経済移行、私有化、規制緩和、自己責任)

 2 市場と計画 (経済活動は何によって調整されるか。「神の見えざる手」とは?)

 3 競争と独占 (市場は自由に放任すれば機能するか。規制緩和とは。独占禁止政策とは)

 4 私的所有  (私的所有はやる気と効率を高めるのか、搾取と権力をもたらすのか)

 5 経済政策  (財政政策と金融政策。財政赤字と金融緩和の何が問題か。グローバライゼーション
          かアメリカナイゼーションか。市場経済と民主主義は親和的か)

 6 政府と市場 (市場の失敗と政府の失敗。環境政策、セーフティネット、「大きな政府」と「小さ
          な政府」は自由や平等とどう関係あるか)

 7 政治経済学再論(市場経済のルール、民主主義と利益政治、なぜ政治経済学か、経済学は科学か)

 テキストを利用しつつ、理論的・実証的なトピックを解説する形で進める。実証的トピックは旧計画経済諸国、アメリカ、日本の事例を中心として、市場経済移行、不良債権問題、規制緩和、企業合併・買収、財政赤字、環境政策、開発独裁、経済政策と選挙、などをとりあげる。

 テキストは、授業前に該当部分を読んでいることを前提に進める。

 

成績評価の方法

 小レポートと期末テストによる。

 

留意事項

 小レポート提出や連絡に電子メールを使用する。

 補足事項がある場合はホームページに掲載するので、随時下記URLをチェックすること。

 http://www.econ.tohoku.ac.jp/~kawabata/index.htm