入門科目紹介:経済学入門A
(経済学部ゼミナール協議会の求めに応じて作成した紹介文)
経済学の定義は学派によって異なりますが、最大公約数的に言えば、「生産、交換、分配を規制する諸法則を研究する学問」です。そしてこの「しくみ」についての考え方によっておおまかにわけると、理論経済学と政治経済学にわかれます。入門Aは政治経済学の入門科目です。みなさんが入学すると「近経」「マル経」という分け方を耳にすると思いますが、マルクス経済学は政治経済学の中の有力な一部分と考えてください。
経済学ではふつう、市場メカニズムの諸法則を徹底的に研究します。これに対して政治経済学は、市場メカニズム以外の制度、権力配分、価値観などの役割を重視します。また学派によっては経済のしくみをメカニズムととらえずに生物組織やコミュニケーションのようなものととらえることもあります。
この授業では政治経済学の基本的な考え方を学びますが、抽象理論の説明だけでなく数多くの事例を用います。
資格試験などに直接利用できるか、という意味では、政治経済学は理論経済学に比べると役に立ちません。一方、たいていの経済問題を論じるためには、政治経済学の素養が欠かせません。経済問題は複雑すぎて、数式に当てはめれば答えが出るということにならない場合が多いからです。政治経済学的思考は、一人の社会人として必要な基本的素養だと思います。授業では、不良債権問題、規制緩和、企業合併・買収、財政赤字、環境政策、市場経済移行などの事例について、学生のみなさんといっしょに考えます。
「勉強は自分でするものです」というせりふはもう聞き飽きているでしょう。そこでもう少し具体的に言えば、内面的には「大学での自分の研究テーマをどう設定してどこまで追求するか」、外面的には「勉強を自己のキャリアにどう結びつけるか」をテーマに自分で自分をプロデュースすることです。
先生が資料や黒板に書いていることを自分の頭にコピーしたり試験をクリアーしたりするのはほんの出発点に過ぎません。そこからどういうノートをつくるか、授業をヒントにどういう本を読んだり、フィールドワークやシミュレーションをやったりするか、どういうテーマを掲げて、どんな先生につくか、はすべてセルフ・プロデュースとなるのが大学です。
人それぞれ関心が異なると思うので、関心に応じて授業の時にお話しします。
のんびりしている時間は、多少はありますが、あまりありません。